《コラム》望まない受動喫煙防止がマナーからルールへ

◆受動喫煙とは
 タバコの煙には、タバコを吸う人が直接吸い込む「主流煙」と、火のついた先から立ち上る「副流煙」があります。副流煙には主流煙と同じく体に有害な成分が含まれていて、ニコチン、タール、一酸化炭素などの成分量は主流煙よりも多いといわれています。この副流煙を、自分の意思とは関係なく吸い込んでしまうことを「受動喫煙」といいます。受動喫煙にさらされると、がんや脳卒中、虚血性心疾患、呼吸器疾患などのさまざまな病気のリスクが高くなり、さらには妊婦や赤ちゃんにも悪影響を及ぼすことがわかっています。

◆この春、改正健康増進法が全面施行
 かつて日本のオフィスで、休憩時間に自席で一服という光景が広がっていた時代も今は昔。1996(平成8)年2月に厚生労働省(旧労働省)より公表された「職場における喫煙対策のためのガイドライン」を皮切りにオフィスの分煙化が進み、2003(平成15)年5月から施行された「健康増進法」の中で事業者に受動喫煙の防止措置を講じる努力義務を課すこととしました。
 駅構内が禁煙となり、行政機関・会社や学校での分煙は既に厳格化してきています。
 そしてこの度2020年4月、健康増進法の一部を改正する法律が全面施行され、望まない受動喫煙を防止するための取り組みは、努力義務から義務規定となりました。

◆改正法での変更ポイント
①多数の利用者がいる施設、旅客運送事業船舶・鉄道、飲食店等の施設において、屋内原則禁煙。特に健康影響が大きい子ども、患者が主たる利用者となる施設等について一層徹底した受動喫煙対策を講じることとなった。
②屋内で喫煙の場合は、各施設において事業主に各種喫煙室の設置が求められる。また、喫煙室には標識掲示が義務付けられている。
③20歳未満は喫煙室への立入禁止
 その他に、既存の経営規模の小さな飲食店については、経過措置として喫煙可能室の設置を可能とし、店内の飲食と喫煙を可としています。このような場合も従業員の受動喫煙を防止するための措置を講ずることを事業主の努力義務としています。
 なお事業主に対しては、受動喫煙対策を行う際の支援策として、受動喫煙防止対策助成金など財政・税制上の制度が整備されているので、活用すると良いでしょう。

 

【時事解説】副業解禁の時代 その2

ただ、闇雲に副業を認めていたのでは職場の規律が保てません。企業は副業を認める従業員に対して、自社に求めるものを具体的に明確にしておかなければなりません。たとえば、以下のようなことになるでしょう。
 「あなたにはこの仕事をここまでやってほしい。目標水準に達しさえすれば、あとは自由にしてもらって構わない。あなたのスキルがこの会社以外で求められ、他で働くことでスキルが向上することは会社にもプラスになるのだから、副業を認める。」

 会社に特定のスキルで貢献しようという人には副業解禁はありがたいことです。ただ、すべての従業員が副業をするということにはならないと思います。将来、取締役などになり、会社の方向性を決めるような幹部候補生が副業をするようでは、その会社の将来性は危うくなります。

 これまで日本の会社は、すべての人に同じように出世の門戸が開かれていているから、従業員全員が幹部を目指して、会社に尽くしてほしいというのが建前でした。しかし、副業解禁が一般的になれば、従業員の働き方にも多様性が出てきます。将来会社の幹部になり、会社の中枢で働きたいから、全身全霊を会社に捧げるという人がいてもいいですし、自分のスキルを磨き、そのスキルで業績に貢献し、会社とはドライな関係でいたいという人がいてもいいわけです。

 やや、強引に話をこじつけている感もなくはないのですが、アメリカのメジャーリーグにて、ピッチャーとバッターの両方(俗に言う二刀流)で活躍中のエンゼルス大谷翔平選手を見ていると、皆が同じ方向に向かうのではなく、多様な働き方を認める方が個人だけでなく組織の活性化にも役立つように思います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

【時事解説】副業解禁の時代 その1

 従来、日本の会社の大半は従業員に副業を認めていませんでした。従業員は所属する企業に心身ともに忠誠を尽くし、企業はその見返りに退職金や年金などを含めて終身の雇用を保証するというのが日本企業のあるべき姿とされてきました。ですから、副業などもってのほかだったのです。しかし、ここにきて副業を認めようという動きが出てきています。こうした副業解禁は世の中の趨勢になりつつあります。そうした動きの中で、従業員も会社への向き合い方を考えるべき時にきているようです。

 企業経営者とすれば、縁あって自社で働くことになった従業員は、できるだけ終身で面倒を見たいという思いはあるでしょう。ただ、現実問題として、先行き不透明なこのご時世に、従業員の一生の面倒を見ることは、とても保証できないというのも正直な気持ちだと思います。従業員から身も心も捧げつくされても、それに応えられないという事態も十分に考えられるからです。不測の事態に陥って、従業員を解雇せざるを得なくなった時に、その会社でしか通用しない従業員ばかりでは、双方にとって不幸です。

 また、企業が求めるのは結果です。忠誠心の結果として経営成績が上がればいいのですが、その証として結果の伴わない付き合い残業ばかりが増えてしまう、といったことでは困ります。

 だとすれば、他社でも通用するように個人の持つスキルを磨いて、そのスキルで会社に貢献し、空いた時間は自由に使ってもらって構わない、と考えるのは自然の成り行きです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》令和2年度2次補正予算成立!

◆コロナ対策の予算
 新型コロナウイルス対策を柱とした2020年度第2次補正予算案が6月12日、参院本会議で可決、成立しました。「家賃支援給付金」や「休業支援金」の創設、雇用調整助成金の上限額引き上げ、さらには無利子・無担保融資の大幅拡充などの支援策がスタートします。中小企業・個人事業者に最大200万円を給付する持続化給付金は、これまで対象とならなかった創業後間もない企業なども支給対象に加えられました。

◆中小企業支援向け支援
①資金繰り対策(10兆9,405億円)
 1. 日本政策金融公庫等が「新型コロナウイルス感染症特別貸付」等を継続し、さらに貸付上限額と利下げ限度額の引き上げを実施します。
 2. 民間金融機関を通じた実質無利子融資を継続・拡充します。また、都道府県等による制度融資を活用した民間金融機関の実質無利子融資を継続し、さらに融資上限額の引き上げを実施します。
 3. 資本性資金供給・資本増強支援
長期一括償還の資本性劣後ローンを供給、中小機構出資の官民連携のファンドによる出資や債権買取等を実施します。
②持続化給付金(1兆9,400億円)
 新型コロナウイルス感染症の拡大により影響を受けている事業者に対して、事業全般に広く使える給付金を支給。足下の状況等を踏まえ積み増しします。
③家賃支援給付金(2兆242億円)
 新型コロナウイルス感染症を契機とした5月の緊急事態宣言の延長等により、売上の急減に直面する事業者の事業継続を下支えするため、地代・家賃の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して給付金を支給します。
④中小企業生産性革命推進事業による事業再開支援(1,000億円)
 業種別ガイドライン等に基づいて中小企業が行う、事業再開に向けた消毒設備や換気設備の設置などの取組を支援します。
⑤中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業(94億円)
 各市町村へ専門家を派遣し、中小・小規模事業者からの相談に対応する体制を整備。また、商工会・商工会議所の相談受付体制を強化します。

《コラム》育休延長で給付金は受け取れる?

◆育休中、コロナ感染症で保育園が休園に
 全国的に新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が解除されました。ようやく各方面で手探り状態での再開が始まっています。小さいお子さんを抱えて働く家庭にも少なからず影響がありました。
 育児休業中の方が雇用保険の育児休業給付金を受けていて復帰時になり、子どもを保育園に預ける予定であった時、保育園が新型コロナの感染症で臨時休園になっていたり、市区町村や保育所から登園の自粛要請となったりした場合、雇用保険の育児休業給付は延長されるのでしょうか?

◆そもそも育児休業給付金を受け取るには
 育児休業給付金は1歳に満たない子を養育するため育児休業を取得する被保険者の方で、育児休業開始前2年間に賃金支払い基礎日数11日以上ある月が12か月以上ある方が対象となります。
 育児休業は原則1年間ですが、1歳の時点で保育園に入れない場合などは1歳6か月まで、1歳6か月の時点でも保育園に入れない時は2歳まで延長できることとなっています。
 厚労省は今回通常の定員などの関係で保育所に入れない場合以外、新型コロナ感染症が原因で登園できない場合も育休の延長を認めることとしました。給付金を受けるには休園や自粛要請を確認できる書類かWEB上のお知らせなどの写しを添付し給付請求します。

◆子の年齢や復帰前であるかが受給ポイント
 先に給付金の受給資格について記載しましたが、受給可能かどうかは子どもの年齢に関係します。
 1歳未満であれば一旦育休を終了し職場復帰していても再び給付を受けられます。自粛要請や休園が1歳や1歳6か月時点であれば延長は認められます。1歳以上2歳未満では職場復帰しているかが問われます。慣らし保育などで通っていた時でも復帰していなければ延長はできますが、完全に職場復帰した後では延長や給付金の支給はありません。

 

《コラム》テレワーク導入の活用税制

◆中小企業経営強化税制とは
 中小企業経営強化税制とは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得や製作等した場合に、即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)が選択適用できるものです。これまで、生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)が対象になっておりましたが、新たにデジタル化設備(C類型)が対象に加わりました。今回のコロナをきっかけにテレワーク等を促進するために税制が拡充されました。

◆対象設備について
 デジタル化設備とは、下記のいずれかに該当する投資計画を達成するために必要不可欠な設備です。
①遠隔操作
1)デジタル技術を用いて、遠隔操作をすること
2)以下のいずれかを目的とすること
A)事業を非対面で行うことができるようにすること
B)事業に従事する者が、通常行っている業務を、通常出勤している場所以外の場所で行うことができるようにすること
②可視化
1)データの集約・分析を、デジタル技術を用いて行うこと
2)1)のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するものであること
3)1)により事業プロセスに関する最新の状況を把握し経営資源等の最適化※を行うことができるようにすること
③自動制御化
1)デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること
2)1)の指令が、現在行っている事業プロセスに関する経営資源等を最適化するためのものであること
※「経営資源等の最適化」とは、「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」をいいます。
※デジタル化設備(C類型)を取得する経営力向上計画を申請される方は、計画申請の際、経済産業局によるデジタル化設備に関する確認書が必要になります。

【時事解説】ウイルスに負けない飲食業の新業態とは その2

コロナ禍により苦境に立たされている飲食業。このまま潰れてたまるかと言わんばかりに、新たなビジネスモデルを生み出す店もあります。一つには、ライブ配信やオンライン飲み会で顧客に接客し、収益を上げるやり方があります。
 ただ、これまでは個々の店舗で取り組んでおり、顧客からお金をもらうための、収益化の仕組みが構築できていない点がありました。そんな中、確実に収入へつなげるため、新たなビジネスモデルの構築へと動き出した企業もあります。

 カフェを展開しているある上場企業は、他社と組んでスナックのバーチャルサービスをはじめました。サービスを利用するには、顧客はまず、スマートフォンでポイントを購入します。金額は500ポイントで500円(2020年5月現在)。500ポイント単位でクレジット決済します。決済サービスを用いることで、顧客は安心してサービスを利用でき、店側も確実に収益が上がるようになります。現在は試運転中なので2店舗だけで運営していますが、今後はフランチャイズ化する予定だといいます。

 新たなビジネスモデルを創出する事例が他にもあります。それは、現在の事業に隣接する事業に乗り出すことです。高級居酒屋チェーンを展開するある企業は、除菌・消毒サービス事業に乗り出しました。ウイルス感染予防対策として、自身の店舗で実施している除菌・消毒に関するノウハウを商売につなげたのです。

 対象は、飲食店だけでなく、宿泊施設やオフィスなど、不特定多数の人が接触する可能性のある場所を広く設定しています。加えて、手順や使用する薬剤は厚生労働省のガイドラインに準拠したものを用いて、顧客は安心して利用できるようにしています。バーチャルスナックや消毒事業といった分野への参入は、新たなビジネスモデルを構築することで、出口の見えない業種でも光を見出せることを示しています。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】ウイルスに負けない飲食業の新業態とは その1

新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、スポーツジムや旅行業など、多くの企業が苦境に立たされています。なかでも、大きな打撃を受けているのは飲食業です。休業要請や外出自粛により、売上が大幅に減少している店が多くあります。
 休業要請は解除の方向にあり、営業時間を元に戻す動きもあります。が、「3密」の回避やソーシャルディスタンスの確保により、席数を減らすといった対処が求められ、経営を圧迫しています。

 その中、テイクアウトやデリバリーといった新たな販路を開拓し、活路を見出そうとする店もあります。ただ、スナックなどに通う顧客はお酒や料理だけでなく、店に足を運ぶことで店員や他の客との会話を楽しむ点に価値があるという人もいます。つまり、料理のテイクアウトでは代替えできない価値があるのです。

 スナックなどの飲食業は、今後も厳しい状況が予想されますが、新たな形で価値を提供しようとする試みがあります。それは、オンラインで接客する「オンラインスナック」です。東京都の新宿ゴールデン街の店では、休業中の店内からネットでのライブ配信機能で中継を行なう店があります。コメント欄にお客からの書き込みが入り、それを見た店主がお客に語りかけるといった形でコミュニケーションをとっています。顧客の中には、ライブ配信の投げ銭機能を用いて、店へ応援のお金を送る人もいます。
 また、銀座のスナックでは、オンライン会議のアプリを用いて、オンラインでの飲み会を有料で行っているところもあります。

 サービスの収益化は難しいと考える向きもあります。オンラインスナックは、工夫次第で、収益化できるものもあると示しています。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】大学生の就職意識と地元企業の課題解決 その2

では、大学生による実践型インターンシップの取組みにはどのような特徴がみられるのでしょうか。そこで株式会社神戸新聞社を主体として大学生が地元企業の課題解決に向けた実践型インターンシップを行う事業である「Mラボ」についてみていきましょう。

 Mラボは、大学生の大企業志向が強く求人と求職のミスマッチが広がる中、兵庫県内には優良な企業が多いにも関わらず、大学生には情報が届きにくいという現状を克服し、地元企業と大学生をつなぐことを目的とした取組みであり、神戸新聞社が企画運営しており、兵庫県、兵庫県中小企業団体中央会、神戸市、兵庫労働局、大学コンソーシアムひょうご神戸などと連携・共催して実施されています。

 Mラボの主な活動内容として、「Mラボ課題解決ラボ」、「ひょうご中小企業就活ガイド」、「地方が面白くなる大学ゼミツアー」などがあげられます。 
 その中でも「Mラボ課題解決ラボ」は、企業が抱える課題を大学のゼミ単位で調査研究する実践型インターンシッププロジェクトであり、企業と大学生のマッチングを目指すMラボの中核事業として位置づけられています。商品開発や販売戦略、マーケティング分析など企業から出された課題を、大学ゼミと企業の担当者が協力して調査研究します。研究テーマは、ゼミの研究活動における専門的知見を踏まえたうえで設定されることから、企業と深く関わり調査研究を進めることができるのが特徴です。

 以上のことから中小企業は、地元の行政機関、大学、報道機関、経済団体などと連携しつつ、自社の経営課題の解決に向けた実践型のインターンシップを導入し、学生と深く関わるような取組みを行うことが求められるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》小規模企業共済の特例措置

◆特例緊急経営安定貸付けの実施
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業況が悪化したことにより、1か月の売上高が前年又は前々年度の同期と比較して5%以上減少した、貸付資格を有する全ての小規模企業共済契約者は以下の条件で借り入れすることが可能となりました。
・借入額:50万円~2,000万円(掛金納付月数に応じて、掛金の7割~9割)
・借入期間:借入額が500万円以下の場合は4年、借入額が505万円以上の場合は6年(いずれも据置期間1年を含む)
・利率:0%(無利子)
・返済方法:据置後、6か月ごとの元金均等払い

◆契約者貸付けの延滞利子の免除
 令和2年4月7日時点で契約者貸付けの残高があり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業況が悪化したことにより、1か月の売上高が前年又は前々年度の同期と比較して5%以上減少した契約者は、申し出により延滞利子を1年間免除することができます。返済期日後1年以内に返済もしくは借換えの手続きをしていただくこととなります。
※約定返済日が令和2年3月1日以降の借入れが対象となります。

◆掛金の納付期限の延長等
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業況が悪化したことにより、1か月の売上高が前年又は前々年度の同期と比較して5%以上減少した契約者
(a)掛金月額の減額
 掛金月額を、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で自由に選択できますので、柔軟に変更することが可能です。
(b)掛金の納付期限の延長
 契約者からの申し出により、令和2年11月までの掛金の請求を延長することができます。
※期間内の⽀払いが免除されるのではなく、令和2年12月からは、2か月分ずつの掛⾦を納めていただくことになります。したがって、延⻑期間終了後の掛金請求月額は倍額となり、負担が大変大きくなりますので、十分ご注意ください。