【時事解説】コロナショックで恩恵を受ける事業とは その1

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出を控えることが多くなりました。結果、外食やレジャー施設など、様々な分野で売上が減少しています。ただ、すべての事業が打撃を受けているわけではありません。

 なかでも、リモートワークや休校などにより自宅で過ごす人が増えた結果、「巣ごもり消費」が伸びています。「巣ごもり」というのは、鳥が巣にこもるように、人が外出を控え、自宅で過ごすことを指します。巣ごもり消費で好調なサービス・商品には、ネット通販や宅配のほか、映像配信や家庭用ゲーム機器、スマホゲームなどがあります。

 また、料理関連グッズも好調です。外食の機会が減り主婦が家で調理する負担が増えました。そこで、電子レンジで加熱するだけで簡単に調理ができる容器が人気上昇中です。さらに、外出を自粛するため、買い物の回数を減らさなければなりません。そのため、コメや野菜の鮮度を保つための気密性の高い袋など、巣ごもりをするうえで便利な商品の需要が伸びています。

 加えて、外出自粛の広がりを背景にインターネットを利用する機会が増えました。結果、ネット広告事業が好調です。また、運動不足の解消やストレス発散として、トレーニング機器のほか、自宅でリラックスするための入浴剤も売れています。

 コロナ災害で売上が大幅に減少した企業が多くあります。その中でも、好調な分野は存在しています。今、経済面でコロナウイルスに打ち勝つために、もっとも重要なポイントは、ウイルスの影響による世の中の変化をいち早くとらえ、自身の事業を世の中の変化に合わせるように変えていくことだといえます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】若者に向けた中小企業の魅力発信 その2

では、中小企業の魅力について、若者と中小企業との間にどのような認識の違いがみられるのでしょうか。そこで経済産業省近畿経済産業局が2018年に実施した「若者就職意識調査」と「企業フォローアップ調査」において、「中小企業の良い点」として学生及び中小企業のそれぞれが認識している項目を比較してみましょう。

 中小企業が考える自社の魅力と、学生が考える中小企業の魅力の共通点をみると、「地域に貢献している」、「やりがい・働きがいがある」、「社員を大切にする」、「成長志向がある」、「優れた実績、高い業績がある」などの項目は、学生、中小企業の双方が「中小企業の良い点」として認知する回答割合が高く、両者に大きな差はみられません。

 一方で、学生は中小企業に期待しているが、企業はそれほど自社の魅力と認識していない項目についてみると、「残業が少ない」、「会社の雰囲気がよい」、「希望の仕事ができる」といった項目は、学生側は「中小企業の良い点」として回答した割合が高くなる一方で、中小企業側は「良い点」として回答した割合が低くなっています。

 さらに、企業は魅力に思っているが、学生とは少し乖離がある項目についてみると、「担当する仕事の幅が広い」、「長年経営を持続させている」、「社会で必要な商品・サービスを提供している」といった項目は、企業側は「中小企業の良い点」として回答した割合が高くなる一方で、若者側は「良い点」として回答した割合が相対的に低くなっています。

 以上のことから中小企業は、学生が中小企業に期待する項目を重点的にアピールするとともに、自社が魅力として認識する点を学生にわかりやすく説明することが求められるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】若者に向けた中小企業の魅力発信 その1

中小企業の人材確保が主要な経営課題となる中、中小企業が若者を採用するにあたって自社の魅力を若者に対して発信することが求められます。

 経済産業省近畿経済産業局では、2018年に大学生を中心とした若者に対し「若者就職意識調査」を、中小企業に対し「企業フォローアップ調査」を実施し、その結果を2018年12月に公表しています。
 まず「若者就職意識調査」において近畿圏の学生に対して実施したアンケート調査に基づき、中小企業が就職先の対象となるかどうかについてみると、「就職先として対象となる」と回答した割合は82.9%と高い割合を占めています。中小企業を希望する理由について回答割合が高い順にみると、「雰囲気がよさそうだから(23.4%)」、「自分の能力や強みが発揮できそうだから(17.9%)」、「人間関係がよさそうだから(17.4%)」となっています。

 若者が就職先選定にあたり重視することについて、「大変重視する」と回答した割合が高い順にみると、「人間関係が良好そうである(64.1%)」、「会社や職場の雰囲気(63.4%)」、「自分に合った仕事ができる(58.5%)」、「生活と仕事の両立が可能(53.1%)」となっています。
 中小企業を就職先として考える場合の課題について、「大変課題だと思う」と「やや課題だと思う」の合計割合の高い順にみると、「どこで情報を入手したらよいかわからない(73.7%)」、「中小企業で働いている人から話を聞くことがなく、イメージがわかない(69.4%)」となっています。

 以上のことから若者に中小企業の魅力を発信するためには、中小企業の情報を発信する機会を増やすとともに、発信する情報の中身として働く人の声を発信することが求められるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》労働保険及び社会保険の電子申請が一部義務化

◆労働保険及び社会保険の電子申請義務化
 2020年4月以降に開始される事業年度から、特定の法人(資本金、出資金又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金が1億円超の法人、相互会社、投資法人、特定目的会社)の労働保険及び社会保険の一部手続きについて、電子申請が義務化されました。
 政府の規制改革推進会議は行政コストの2割削減の方針を示しており、国税庁では一定の法人について税務申告の電子申請を義務化する方向で検討しています。
 厚生労働省は、所管する労働保険(労災保険、雇用保険)及び社会保険(健康保険、厚生年金保険)の一部の届出について、電子申請を義務化しました。

◆電子申請が義務化される手続き
 今回、労働保険及び社会保険で電子申請が義務化される手続きは以下の通りです。

<社会保険(健康保険・厚生年金保険)>
・被保険者報酬月額算定基礎届(定時改定)
・被保険者報酬月額変更届(随時改定)
・被保険者賞与支払届
 いずれも保険料算定に関する届出です。

<労働保険(労災保険・雇用保険)>
・年度更新に係る申告書(概算保険料申告書、確定保険料申告書、一般拠出金申告書)
・増加概算保険料申告書
 いずれも継続事業を行う事業主(一括有期事業を含む)を対象とする保険料算定に係る手続きです。

<雇用保険>
・被保険者資格取得届
・被保険者資格喪失届
・被保険者転勤届
・高年齢雇用継続給付支給申請
・育児休業給付支給申請
 被保険者資格の得喪に関するものや高年齢雇用継続給付、育児休業給付に関するものです。

今後、電子申請が義務化される法人や手続きが拡大されていくことになりそうです。

《コラム》テレワーク導入と規定整備

◆普及に向けた取り組み
 テレワークとはICT(情報通信技術)を利用して時間や場所を有効活用し、事業場外勤務で柔軟な働き方をすることを言います。元は働き方改革や東京オリンピック開催で普及促進が提唱されていましたが、現在は感染症の拡大に伴い、テレワークに関する関心が高まっています。大きく分けると在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークに区分できます。
 サテライトオフィスは所属するオフィス以外のレンタルオフィス等の遠隔勤務施設での就業を指し、モバイルワークは営業職などが外出中にオフィスに戻らず移動中に日報などの報告を行うもので、今は在宅でPC作業のテレワークが増えています。

◆テレワーク導入は増えてはきているが……
 少し前ですが平成30年総務省調査では従業員数100人から299人事業所でのテレワーク導入率は14.5%と大企業の46.6%を大きく下回っています。最近3月の経団連のアンケート(会員1470社のうち398社が回答)では、テレワークや在宅勤務を始めるか予定している企業は回答者のうち7割に上っています。検討中も19%いました。この数字は大企業も含まれているので中小企業などではまだなかなか進んでいない状況があります。また、事務系の仕事では在宅勤務がしやすいものの、工場や現場系の仕事では在宅勤務自体が難しいという面もあります。一方で上司の中にも部下が仕事をしている姿を目の前で確認しないと不安と思う人がいる場合もあるでしょう。

◆導入するために決める必要のあること
 会社がテレワークを導入し従業員に自宅や他のオフィスで働かせる場合に、就業規則の必須事項ではありませんが、実際にさせるには従業員に通信費や情報通信機器、光熱費等の費用負担を就業規則で定めておく必要はあります。今回のような事態で緊急にテレワークを始めて規定整備はできない時でも労使協定書で取り決めはしておきたいものです。規定する事項は、
 ①対象者と対象者の許可基準、手続
 ②実施時のセキュリティ等情報通信機器や情報の取り扱いルール
 ③費用負担のルール
 ④実施時の労働時間管理は始業・終業・休憩、時間外勤務、メールや電話報告義務、中抜け時間の取り扱い、テレワーク中は常に連絡が取れる態勢など

 

【時事解説】持分法の経営的意味合い その1

 企業が他の会社の株式を持つ理由は大きく二つに分けられます。一つは配当や値上がり益を期待する投資目的であり、もう一つは相手の会社の経営に関与してグループ全体としての収益を極大化しようとする事業目的です。ここでは、投資目的の会社を一般会社、事業目的の会社を関係会社と呼ぶこととします。関係会社には関連会社と子会社の2種類があります。会計では、子会社になると親会社と一体と考えますが、本稿でテーマとする関連会社は子会社ほどの経営の同一性はなく、親会社は関連会社の経営に関与するといった関係になります。

 関連会社の定義には、いろいろなバリエーションがありますが、原則的には、持株比率をベースにして20%以上あれば関連会社となります(子会社の場合は原則的に50%超が判断基準になります)。関連会社になると、会計上は持分法が適用されます。
 一般会社と関連会社で、連結財務諸表の表示がどのように変わるか見てみます(以下は、業績が悪化して減損会計が適用される場合を除いた、通常状態の場合における表示の説明になります)。

 一般会社でも関連会社でも、取得している株式は連結貸借対照表では固定資産の投資有価証券に含まれます。ただ、違うのは株式の評価方法です。一般会社は、上場株式の場合はマーケットプライスで時価評価されます。つまり、期末株価が取得原価を超えている場合は評価益が計上されます。ただ、この評価益は連結損益計算書には反映されずに、連結貸借対照表の純資産に税効果分を除いて加算されます。逆に評価損があれば、税効果分を除いて純資産から減算されます。また、連結損益計算書には、一般会社からの配当金が営業外収益の受取配当金として計上されます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》生産性革命推進事業の特例措置

◆生産性革命推進事業とは
 令和元年度の補正で予算措置された事業で、いわゆる「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」を指し、総額3,600億円の予算がついています。今回の新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるため、令和2年度の補正予算として特別枠を設け、新たに700億円が追加される見込みです。

◆影響を受けた事業者への特例措置
 特例措置は下記の3点です。
①特別枠で優遇されます
 新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために前向きな投資を行う事業者への支援内容を拡充します。
②申請要件が緩和されます
 ものづくり補助において、付加価値額や給与支給総額、事業場内最低賃金といった事業計画内の目標値の達成時期が1年間猶予されます。
③遡及適用されます
 交付決定日前に発注した事業に要する経費についても対象となります。

◆各補助事業の拡充の内容
①ものづくり補助金
 中小企業等が感染症の影響を乗り切るための、新製品・サービス・生産プロセスの改善に必要な設備投資等の支援について、補助率が1/2から2/3へ引き上げとなる予定です。
②小規模事業者持続化補助金
 小規模事業者等が感染症の影響を乗り越えるために、経営計画を策定して取り組む販路拡大等の取り組みについて、補助上限が50万円から100万円へ引き上げとなる予定です。
③IT導入補助金
 中小企業等が感染症の影響を乗り越えるための、ハードウェア(PC、タブレット端末等)のレンタルも含めたITツール導入について、補助率が1/2から2/3へ引き上げとなる予定です。
※令和2年度の補正予算の成立を前提としています。事業内容は変更される場合があります。事業の詳細は決定次第、経済産業省のHPで公表されます。

《コラム》64歳以上も雇用保険料徴収

◆令和2年4月より被保険者全員から徴収
 平成29年(2017年)1月1日より65歳以上の労働者も「週の所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込みがある場合」は雇用保険適用対象となっていました。しかし、令和2年(2020年)4月よりすべての雇用保険加入者から徴収、納付が必要となりました。
 今までは保険料については経過措置が取られていました。その年度の4月1日に満64歳以上の雇用保険被保険者は雇用保険料が免除され、令和元年度までは保険年度の途中で65歳になる高年齢労働者(4月1日で満64歳以上の方)の保険料が免除されていました。
 給与からの徴収を具体的な例でみると15日締め当月25日払い→4月25日支給(本年は土曜日にかかり前日の4月24日支給)から末締め翌月25日払い→5月25日の支給から雇用保険料控除となります。
 今まで免除となっていた高年齢従業員には4月分より雇用保険料が徴収されることを事前に通知しておくのが良いでしょう。

◆労働保険料年度更新はどのようになる?
 新年度になりますと労働保険料の年度更新の申告がありますが、平成31年度(令和元年度)分は今まで通り雇用保険の被保険者の賃金総額から高年齢者の賃金総額を控除して確定の雇用保険料を算出します。令和2年度の概算申告では雇用保険加入要件を満たす全従業員分の賃金総額から雇用保険料を算出します。

◆高年齢労働者の失業給付は?
 高年齢労働者も雇用保険料を徴収されるようになりますが、失業した場合は若年者と同じように勤続期間に応じた給付日数が設定されている所定給付日数が受給できるということはなく、従来通り65歳以上で離職された場合は30日分か、50日分の高年齢者求職者給付金という一時金となります。この一時金は年金と併給可能です。
 65歳以上で新たに勤務して、加入要件を満たしている方は加入期間6か月以上あれば受給要件を満たします。まだ手続きをしていない場合は被保険者資格取得届の手続きをしましょう。

【時事解説】イベント自粛、損失を抑える工夫とは その2

新型コロナウイルスは私たちの健康だけでなく、経済に大きな打撃を与えています。中でもエンターテインメント業界が受ける打撃は極めて大きいものがあります。ただ、先日、窮地に陥った音楽ユニットが、ネット配信を通して1億円もの収益をあげました。どのようにして収益を挙げたのでしょうか。

 YouTubeにはスパチャ(スーパーチャット)といって、路上ライブの投げ銭のような機能があり、ライブの配信動画を観ている観客はスパチャを通して、配信者を応援することができます。金額は100円から最大5万円まで、自分が選んだ金額を配信者に送ることが可能なシステムです。金額が200円以上ならばメッセージを送ることも可能で、自分が送ったメッセージは投げた金額に応じて一定時間、画面に残ります。また、金額が多いほど目立つ色に装飾表示されます。メッセージを目立たせることで、配信者の目にとまりやすくなります。先の音楽ユニットのライブでは、ファンから、励ましのメッセージがたくさん届きました。ピンチはチャンスといいますが、この音楽ユニットは金銭面だけでなく、ファンとの絆を強めたという側面もあります。

 同様に、あるビジュアル系ロックバンドもツアー中止にともない、「エアライブ」が話題になりました。エアライブは文字どおり、実際は開催されていない架空のライブを指します。このロックバンドのファンがツイッター上であたかもライブがあるようなつぶやきをしたのです。一人、二人と数が増え、これにバンドのヴォーカルが自身のツイッターで「リハなう」と投稿。過去のライブの写真をアップし、ファンに応えるという心温まるやり取りがありました。

 打撃を完全に回避することは難しいですが、工夫次第で普段は得られない大切なものを得ることができるといえます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

【時事解説】イベント自粛、損失を抑える工夫とは その1

 感染拡大が懸念される新型コロナウイルス。世界での感染者は累計で23万人を超え、死者は1万人に達しました(3月20日現在)。WHO(世界保健機関)は「パンデミック」、世界的大流行の状況にあると表明。混乱状態が続いています。

 健康を害する脅威だけでなく、経済への打撃を懸念する声も上がっています。家に引きこもる人が増えたため、小売業や飲食業は売上げが減り雇用の維持が危ぶまれています。また、2019、20年度のGDPは2年連続のマイナス成長になるとの予想もあります。

 サービス業の中でもエンターテインメント業界が受ける打撃は計り知れないものがあります。コンサートなどのイベントが軒並み中止となりました。アーティストの中には、チケットの払い戻し代金などで負債を抱えるケースも生じています。小さい芸能事務所にとって、負担は死活問題です。

 先日、ある音楽ユニットが全国ツアーを中断しました。ただ、このユニットは絶望的な状態を抜け出すことができました。何を実施したかというと、無観客でライブ開催、そして、その様子をインターネットで配信しました。実は、YouTubeには、スパチャ(スーパーチャット)といって、路上ライブの投げ銭のような機能があります。ファンはユニットの経済的な損失を心配し、スパチャで送金することにしたのです。結果、このアーティストには1億円を超えるスパチャが集まり、窮地を脱することができました。

 日本国内では、イベント中止のほかにも、外国人観光客の減少によるインバウンド需要の減少や部品供給の停滞による生産中止など、様々な困難が降りかかっています。そんな中、諦めずに解決策を見つけることが大切といえます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)