《コラム》ハローワークインターネットサービスをご存知ですか?

◆ハローワークインターネットサービスとは
 ハローワークインターネットサービス(以下「HWIS」)とは、ハローワーク(以下「HW」)に登録した求人情報を求職者がネット上で検索できるサービスのことです。全国のHWから求人情報が集められその件数は130万件弱にもなります。リクナビ等が1万件ほどといわれているのでその巨大さがお分かりになるでしょう。企業はこれを使わない手はありません。

◆HWISに求人を公開するには
 HWが受け付けた求人のうち、HWISでインターネット上に公開される求人は、企業が公開を認めた案件に限ります。HWに登録されたすべての求人情報がHWISで公開されるわけではありません。HWISに求人を出すには、HWの窓口で求人を出すときに情報公開をするかのチェック欄で公開をするかどうかを決められます。
①公開することで営業の勧誘がある
②他社に賃金などの条件が漏洩する
③募集ポジションによっては秘密裏に動く必要がある
などの理由から公開しない企業がHW求人で1割ほどいるのですが、①②の場合は公開したほうがよいでしょう。PCでの閲覧を標準としており、スマホなどのモバイル端末では見づらいかもしれません。しかし、職業紹介事業者(Indeedなど)にもデータが供給されており、こうした事業者等が手掛けるスマホサイトでは快適に検索が可能です。リクルートによるとスマホなどネットでの求人検索は全体の6割に上るといわれています。ネットに公開することが求職者を集めるには絶対に必要でしょう。

◆HWISに情報が公開されるタイミングは
 その日に登録された求人情報は夜9時ごろに集約、確定し翌朝6時ごろに最新情報に更新されます。つまり翌日になると情報が更新されます。HWは新規求人が上に出てきますが、この更新時期を応用して休み前に求人を出しておくと、新規求人として上に出続けるのでお勧めです。例えば金曜に登録すると翌日の土曜から月曜日まで最新求人として上に載ることになります。年末年始などはさらに長い期間になるでしょう。

◆求人は公開しよう
 求人はネットで公開するのが普通の時代になっています。よい人材をとるためにも求人情報は公開して、求職者の目に留まる確率を上げましょう。

【時事解説】働き方改革、介護休業へ取り組む企業の増加 その2

介護休業制度の整備に力を入れる企業が増えています。高齢化が進む中、介護離職者は年間で約10万人にのぼり、企業は対策を迫られています。とりわけ、これまで介護離職というと女性が多いとされていましたが、最近では男性の離職者も増えています。年齢は40~50歳代の管理職というのも特徴です。ある日、突然、プロジェクトのリーダーが退職し、進捗に支障が生じるケースも多くなっています。仕事を支える重要なポジションにいる人の離職は会社にとって打撃となります。
 こうした中、働く場所や時間を自由にできるテレワーク制度や介護休暇の延長といった施策に取り組む企業が増えています。

 ほかにも、フレックスタイム制度のコアタイム撤廃を実施する企業があります。一般的にフレックスは午前10時半~正午、午後1時~3時といったコアタイムがあり、この時間帯には会社に出社していなければなりません。介護で親の病院に付き添う際、診察が何時に終わるかはっきりしないときは、あらかじめ有給休暇をとらなければなりません。有給休暇を使い切ってしまった場合、病院の付き添いができなくなるといった問題が生じます。コアタイムを撤廃することで、午前11時や午後出社も可能になるので、有給休暇をとらなくても済みます。また、ある大手建設会社では、社員の希望により、勤務地を実家の近くにある事業所に異動した例もあります。

 介護に関する制度を率先して取り入れることは、会社のイメージアップにもつながるので、優秀な人材を採用するうえでもメリットとなります。ただ、制度を整えても、活用しづらい雰囲気が職場に漂っていたのでは元も子もありません。介護をしやすい職場環境を整えるには、まだまだ多くの課題が残っていそうです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】働き方改革、介護休業へ取り組む企業の増加 その1

働き方改革が国策として掲げられ、多くの企業で取り組みが施されています。働き方改革といえば育児休暇や労働時間短縮といった施策に目が行きがちです。その中、最近は介護休業制度を充実させる企業が増えています。

 具体例としてエネルギー大手企業を挙げると、同社ではテレワーク制度を導入しました。これは社員が時間や場所にとらわれることなく、いつどこでも仕事をしてもよいという制度です。従来、親の介護で実家を訪れるときは休暇をとる必要がありました。が、制度を活用すると、たとえば親の介護として朝食の準備、服薬の支援、デイサービスへの送り出しなどを済ませたあと、会社の会議システムでミーティングを行うといったことが可能になります。ほか、親が就寝した後の空き時間をうまく活用することで、メールや資料作成といった仕事もできます。現在、テレワーク制度の導入は、仕事の状況が把握できないといった理由で、認めていない企業が多くあります。が、介護への有効な対応策として導入する企業が増えることが予想されます。

 また、介護休暇の期間を延長する企業も増えています。先のエネルギー企業では、従来1年間の介護休暇を2倍の2年間に延長しています。
 企業が介護休業制度の整備に力を入れる背景には、高齢化が進む中、親の介護により突如、離職しなければならないケースが増えたことがあります。厚生労働省によると2017年、介護などによる離職は約9万人に上りました。これは離職理由の約1.2%にもなります。今後、離職する可能性のある予備軍まで入れると介護離職者は100万人にものぼるという試算もあります。優秀な人材を失うことは企業にとって打撃となり、今後ますます対応が必要となります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】小規模企業における事業承継の現状と課題 その2

では、小規模企業における事業承継問題の解決にあたっては、具体的にどのような支援が行われているのでしょうか。そこで、中小企業庁編『小規模企業白書2019年版』において、小規模事業者の後継者のマッチング支援を行う自治体の事例として取り上げられた滋賀県東近江市の取り組みについてみていきましょう。

 滋賀県東近江市は、同県の廃業率が他県と比較して高いこと、後継者不在のために黒字状態で廃業する事業者がいることに問題意識を持ち、中小企業・小規模事業者の後継者候補探しを支援する取り組みとして「まるごと東近江あとつぎさん募集事業」を実施しました。

 同市では、2018年1月に、同市の魅力をPRすることを目的に、市内の商工会・商工会議所、工業会、観光協会、JAなどを構成団体として、「まるごと東近江実行委員会」を立ち上げました。そこで、特に商工会・商工会議所から、同市の魅力を伝えることで、事業承継を支援することにつながる事業ができないかとの提案があり、同事業が進められました。

 同事業の取り組みとして、2018年11月には東京駅近郊で「事業承継個別相談会」を実施しました。この相談会は、同市内の黒字だが後継者がいない事業者と、首都圏の様々なスキルを持った人材を後継者候補としてマッチングさせることを狙いとして行われました。地道な広報活動が奏功し、各事業者はおおむね10~30件程度の相談者と面談することができました。相談会後の事業承継に関するやり取りは、商工会・商工会議所が支援しながら進めています。

 このように、小規模企業の事業承継支援にあたっては、行政機関、商工会・商工会議所などといった様々な支援機関が連携して取り組むことが重要となるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】小規模企業における事業承継の現状と課題 その1

わが国の企業数減少に至る主な問題・事例として、2016年現在で企業数全体の84.9%を占める小規模企業が減少していることがあげられます。企業数減少の主な要因として、後継者不在を理由に廃業せざるをえない企業の存在があること等から、小規模企業における事業承継問題の解決が喫緊の課題となっています。

 中小企業庁編『小規模企業白書2019年版』では、小規模企業における事業承継の実態や課題を「事業承継した個人事業主」と「事業承継した小規模法人の経営者」に区分して分析しています。
 同白書において、中小企業・小規模事業者の経営者を引退した者を対象に実施したアンケート調査によると、引退した経営者と事業を引き継いだ後継者の関係においては、個人事業主では親族内承継が86.4%を占めており、その大半は子供(男性)への承継となっています。他方、小規模法人では親族内承継が60.3%を占める一方で、親族外の承継も3割を超えています。

 事業承継した経営者が引退に向けて懸案事項などを相談した「外部の専門機関・専門家」についてみると、個人事業主、小規模法人ともに事業承継に係る手続きを行ううえで接点の多い「公認会計士・税理士」を相談相手とする割合が最も高くなっています。次に、個人事業主においては「商工会議所・商工会」、小規模法人においては「取引先金融機関」の割合が高くなっており、小規模な個人事業者及び法人にとって、地元の商工会議所や商工会、金融機関が事業承継の相談窓口として機能していることが示されています。

 このように、小規模企業の経営者が事業承継の課題を解決するためには、様々な専門機関・専門家と連携して経営者引退の準備をすることが重要となるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》デジタル手続法 社会保険手続きの動向

◆5月に法律が成立 デジタルファーストへ
 デジタル手続法は行政手続きオンライン化法、住民基本台帳法、マイナンバー法、公的個人認証法の4法を中心とした一括改正から成立しました。例えば転入・転出の届出や死亡・相続に伴う行政手続きなどを原則インターネットで実施可能にし、手続きに必要な添付書類は行政機関間の情報連携で省略することができるようになるものです。日本社会をデジタルで変革してゆくとともに私たちの生活や仕事に大きな影響を与えていくことが予想されます。今までは電子申請・届出を行っても添付書類を郵送しなければならないとか別途納付手続きが必要になる、交付物を受け取る必要があるなど利用者にとって使い勝手が良いとは言いがたいものでした。スマートフォン世帯保有率も75%となった現在、デジタル手続法の推進でますますデジタルを前提にした情報の流通が活発となるでしょう。

◆社会保険手続きのデジタル化
 行政手続きのデジタル化は多岐分野にわたりますが人事労務では社会保険手続きがあります。すでに社会保険手続きも電子申請はありましたが任意でした。しかし令和2年度からは「特定法人」と定義される資本金1億円以上の企業などに対し一部の手続きで電子申請が義務化されます。
 健保・厚生年金は「賞与支払届」「月額算定基礎届」「月額変更届」、雇用保険では「資格取得届」「喪失届」「転勤届」「高年齢雇用継続給付支給申請」「育児休業給付支給申請」、労働保険では「概算・確定保険料申告書」「一般拠出金申告書」などが義務づけられます。これから順次手続きが増えていくでしょう。まだ電子申請義務化の対象となっていない手続きや資本金1億円未満の中小企業に対しても、近い将来電子申請が義務化されることが予想されます。

◆企業の対応
 今後、中手企業にも電子申請が義務化されることを考えると自社内で電子申請ができる体制が必要となってきます。e-Gov経由は人事マスターの転記が発生しますので紙に手書きで申請するのと大きな差がなく、人事マスターを兼ね備えた人事労務ソフトが使いやすいでしょう。自社で体制を整えるのが困難な時はクラウドを備えた専門家にアウトソーシングするのも手でしょう。

《コラム》金融検査マニュアルの廃止

金融検査マニュアルとは、銀行など金融機関の経営を監督するための指針です。バブル崩壊後の不良債権処理に効果を発揮しました。債権先を「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」に分類し、分類に応じた引当金を求めるものでした。再生局面の中小企業は事業再生計画の策定において、自社がどの債務者区分に分類されているかを把握する必要があることから、馴染みになった会社もあるかと思います。

◆廃止は事業性評価融資の促進
 金融庁が2019年12月を目標に従来の検査マニュアルの廃止を明らかにしました。今は廃止後の検査・監督について意見を求めている最中ですが、中小企業に対してどう影響を与えるのでしょうか。貸し倒れ費用を柔軟に計上するよう促すことも求められています。また、2014年の日本再興戦略改訂に、具体策の一つとして「地域金融機関等による事業性を評価する融資の促進等」が盛り込まれています。つまり、国としては、事業性を評価した融資が行われるように促進する方針がすでに出ています。

◆評価に活用される指標
 中小企業の事業を評価する際に活用されるツールとしてローカルベンチマーク(通称:ロカベン)があります。これは企業の経営診断を行うことを目的に、企業の経営者や金融機関、支援機関等が企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための道具で、事業性評価の入口になると期待されるものです。
 具体的には、財務情報として①売上高増加率、②営業利益率、③労働生産性、④EBITDA有利子負債倍率、⑤営業運転資本回転期間、⑥自己資本比率の数値に着目します。非財務情報としては①経営者、②関係者、③事業、④内部管理体制について着目することによって企業の経営状態の変化に早めに気づき、早期の対話や支援につなげていくものです。

◆金融機関の対応変化に注意
 マイナス金利政策が続く中、統廃合等金融機関を取り巻く環境が大きく変化しています。金融検査マニュアルの廃止をきっかけにして、お付き合いのある金融機関の対応が大きく変化するかもしれません。

《コラム》今年も10月に最低賃金が改定されます

◆東京・神奈川は時給1,000円超に
 毎年10月は、地域(都道府県)別最低賃金の改定月です。今回は、令和初の改定となりますが、東京都(1,013円)と神奈川県(1,011円)の最低賃金は、はじめて時給1,000円台に突入します。
 一方、前回単独最下位だった鹿児島県は今回他県より改定幅を大きくしたため、佐賀県や長崎県などと同額の790円となり、単独最下位(今回15県)を脱出します。
 
◆全国平均も時給900円超に
 以前から、地域別最低賃金は全国平均(47都道府県の加重平均)1,000円を目指すと言われていましたが、今回の改定で全国平均は901円と、はじめて900円を超えました。
 近年の上昇ペースが今後も続けば、あと4~5年で全国平均も1,000円台に突入することになりそうです。
 
◆採用時以外でも最低賃金の確認を
 パートやアルバイトを募集する際、最低賃金を確認して求人を出していると思いますが、既に雇用しているパートやアルバイトの時給が最低賃金スレスレだった場合の昇給モレや、月給制の場合に所定労働時間から換算した時給が最低賃金を下回っていることなどを見逃すケースがあります。

◆最低賃金法違反の罰則は重い
 最低賃金法違反の罰則は、最低賃金を下回った場合は50万円以下の罰金、事業場での周知が行われていない場合は30万円以下の罰金、最低賃金違反を申告した労働者に対して解雇などの不利益な取り扱いをした場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金など、軽いものではありません。
 
◆産業別の特定最低賃金
 地域別最低賃金の他、産業別の特定最低賃金も都道府県ごとに定められており、適用業種の特定最低賃金が地域別最低賃金を上回る場合、特定最低賃金が適用されるので、適用業種に該当する会社は注意が必要です。

未払い残業代の平均711万円

時間外労働に対する割増賃金が未払いだった企業が、労働基準監督署の監督指導を受けた後に社員に支払った未払い分の額は、昨年は1社あたり平均で711万円に上ることが厚生労働省の報告書で明らかになりました。2018年4月から19年3月の支払い額を取りまとめたもの。政府が推進する「働き方改革」では、労働時間の把握義務が法制化されるなど企業側の説明責任がこれまで以上に重くなっていますが、違反した時の金銭面の負担も重いことが分かります。

 厚生労働省によると、不払いだった割増賃金を労働者に支払った企業のうち、その支払い額が100万円以上だったのは1768社でした。このうち支払い額が1千万円以上の企業は228社でした。支払われた割増賃金の総額は125億6381万円で、1社当たり711万円。対象となった労働者の総数は11万8837人でした。社員1人当たりでは11万円。

 業種別の企業数では、製造業(全体の18.8%)、商業(18%)、保健衛生業(13%)、建設業(10.1%)、運輸交通業(6.7%)で続きます。しかし対象となった労働者数で見ると、保健衛生業が2万3981人で全体の20.2%を占めてワーストでした。

 厚労省が発表した違反事例によると、ある会社では残業をしている社員がいるにもかかわらず、管理者が社員全員のタイムカードを終業時刻に合わせて打刻させていました。労基署が立ち入り検査をしたところ、タイムカードの記録と実際の入退館の記録との間に乖離があることが判明したそうです。

 また別の会社は、社員が「労働時間管理表」に記載した記録を基に労働時間を管理していましたが、その自己申告のデータと、パソコンのログ履歴や金庫の開閉記録との乖離があったことから、労基署に是正を求められました。労働者からの内部告発をきっかけに立ち入り検査を行ったとのことです。

<情報提供:エヌピー通信社>

《コラム》公的年金の将来像

◆公的年金財政検証結果
 厚生労働省が5年に1度実施している公的年金の健康診断にあたる財政検証結果を公表しました。将来の年金水準についての検証では経済状況が異なる6つのケースを示しています。給付水準は現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合「所得代替率」という指標で示されています。
 2019年度の所得代替率は61.7%です。1~3のケースでは29年度以降の20年~30年の間、女性や高齢者の労働参加が進んで経済成長率がプラスとなった場合では給付抑制が46年~47年までで終ります。ケース1で経済成長率が0.9%上昇した場合でも所得代替率は51.9%に下がります。一方、成長率が横ばいにとどまる4~5のケースでは賃金が伸び悩み抑制期間は長くなります。53年~58年頃まで抑制され所得代替率も44.5%~46.5%まで下がります。ケース6の長期マイナス成長の場合では36%~38%になると見込まれています。

◆年金の制度改革
 日本経済のマイナス成長や労働参加者の増加が進まなければ年金の財政は厳しい状態となります。所得代替率を50%より下げないため政府は一定の年金水準を保てるよう対策案を出しています。
1.厚生年金の適用拡大のため、企業規模要件(従業員500人以上)の規模下げ
2.賃金要件(月収8.8万円)以上対象者の要件下げ
3.月収5.8万円以上の全雇用者に適用
4.基礎年金の保険料納付期間を40年から45年に延長
5.受給開始年齢75歳まで繰り下げて支給
6.65歳以上の在職老齢年金の廃止(この場合は年金原資は下がる)
7.上記の組み合わせやマクロ経済スライドフル発動

◆自助努力は必須に
 今回の財政検証で年金額を最も増やす効果があるのは受給開始年齢を上げること、75歳から受給開始すると所得代替率は99.1%だと言います。今65歳で年金をもらい始めても年金抑制の仕組みで徐々に所得代替率が下がります。その影響は若い世代ほど大きくなるので自助努力で老後に備えることは非常に重要になっています。