社名に「令和」続々

新元号が発表された時点で「令和」を社名に使っている企業はゼロでしたが、発表直後から続々と新元号を冠した企業が登場しているようです。東京商工リサーチの調べによると、4月10日時点で30社が令和を社名に使用していました。

 令和を冠した企業のうち、従来の社名を変更したのは18社、新設法人は12社でした。社名変更した企業の中で売上高がトップなのは茨城の総合建設業「令和建設」。1963年創設の老舗でしたが、新元号発表に合わせて心機一転のため社名を変えたということです。

 都道府県別にみると、令和を社名に取り入れた企業が最も多いのは福岡の5社。東京4社、埼玉・広島・佐賀が各2社と続き、その他15道府県が1社でした。産業分類別ではサービス業等が13社で全体の43.3%を占め、情報通信業が5社、建設業が4社で続いています。

 なお、これまでの元号で見ると、「明治」を冠した企業は764社、「大正」435社、「昭和」2640社、「平成」1270社あるそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

《コラム》空き家控除の適用をめぐる配慮と準備

◆空き家控除の座り場所と有利な適用の仕方
 空き家控除は、居住用財産の譲渡の3000万円控除の規定の条文の中に、みなし居住用財産譲渡として挿入的に規定されたので、同じように、譲渡者一人当り3000万円控除であり、何人かの共有で相続の場合には、3000万円に共有者の数を乗じた額が控除額の限度額となります。遺産分割に際しては、共有という選択肢が有利になるわけです。

◆居住用特例との相違点
 なお、居住用3000万円控除と異なり、被相続人居住用家屋とその敷地等の両方を相続等取得した者だけが適用対象で、被相続人居住用家屋のみ又はその敷地等のみを取得した者は適用対象外となるとの解釈が通達で示されています。
 また、居住用買換特例に譲渡価格1億円以下という価格制限のあるように、空き家特例にも1億円以下の限定要件があります。
 ただし、居住用では、共有資産の譲渡の場合は各共有者ごとの譲渡対価により判定するのに対し、空き家では、共有者全員の合計譲渡額で判定されると通達で解釈が示されています。

◆空き家控除と居住用控除とのバッティング
 また、居住用3000万円控除と空き家控除が同一年の譲渡としてバッティングしてしまった場合には、合わせて3000万円しか控除できません。両適用間での前年・前々年適用の場合の排除規定は除外されていますので、譲渡年をズラす調整は注意すれば容易かと思われます。

◆空き家控除特例の制限事項
 空き家特例は、年を跨いで何回かの譲渡の都度に適用することは認められず、一度きりの適用です。それで、部分的な譲渡をせざるを得ない時は空き家特例は適用せず、中心的な譲渡の年に於いて空き家特例を適用するとの選択は可能です。
 しかし、譲渡価額1億円以下の限定要件の判定には、前々年及び翌々年における空き家特例を使わない部分譲渡(除く収用等)をしていた時の部分譲渡額も含めて判定することになっています。

◆空き家をめぐる北風と太陽
 空き家特例は、平成27年度税制改正で、固定資産税・都市計画税の重課措置が実施され、次いで平成28年の税制改正で未然防止策として3000万円特別控除が創設され、今年の改正で、相続開始時老人ホーム入居ですでに空き家になっていた場合もOKになりました。

《コラム》人手不足時代の採用のポイント

◆人手不足時代を乗り切るには
 人手不足が続いています。総務省が11月30日に発表した10月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.4%と前月比0.1ポイント上昇しましたが、25年ぶりの低水準で推移しており求職者有利な状況が続いていることがうかがえます。この売り手市場を乗り切るにはどうしたらよいでしょう。

◆離職理由は何か
 内閣府が行った若者の離職理由調査では
①仕事が自分に合わなかった
②人間関係がよくなかった
③労働時間、休日、休暇の条件が良くなかった
④賃金がよくなかった
が上から順に並んでいます。意外にも労働条件はトップではありません。労働条件面以外で改善できる余地があることがうかがえます。

◆労働条件面以外での対策は
 ①の仕事が自分に合わなかった、では
・必要能力水準を満たしていなかった
・イメージしていた職務内容と違う
・従事した職務が募集内容と違った
などが離職理由としてあげられています。
 採用する側の心構えとしては面接時点で従事する業種、職種に対する理解を深めてもらう。面接で応募者の人柄やキャリアプランを聞く。面接以外に適性検査、能力検査を導入する。経験者にこだわらず、未経験者でも志望動機や強みを考慮してみるとよいでしょう。
 ②の人間関係がよくなかった、では
・職場で話しかけづらい
・上司と話をする機会がない
・上司の指示がうまく伝わってこない
などがあがっています。
 職場内の普段からコミュニケーションを良好に保ち風通しの良い環境を作る。社内のコミュニケーションがとりやすい機会を提供し、コミュニケーションの量が増えるよう仕組むことなどが必要でしょう。

◆世代ごとの違いを理解することが大事
 世代間の違いということも考慮が必要です。コミュニケーションをとりたいと思ったときも自分世代の常識だけではなく、話す相手の背景に興味を持って交流することが、社内調和につながるでしょう。

《コラム》2019年4月からの勤務間インターバル制度

◆いよいよ働き方改革法が施行されます
 平成も最後の年ですが4月より働き方改革法が順次スタートします。今回は改革法で努力義務化される「勤務間インターバル制度」を見ていきます。

◆勤務間インターバルとは
 Aさんが残業をして23時まで働いたとします。11時間の勤務間インターバル制度を導入するとAさんの翌日の始業時間は午前10時になります。会社の就業時間が午前9時から午後5時だとしても、就業規則にインターバル制度の運用が規定されていればAさんが10時に出社することは遅刻にならず、通常通り午後5時に退社しても1日勤務の扱いになり賃金面で不利益は受けません。
 法律ではインターバルの時間を何時間にすべきか明記していません。4月から改めてスタートする「時間外労働等改善助成金」では9~11時間以上のインターバルを設けるように設定されていることが目安になるでしょう。ヨーロッパではすでに導入され11~12時間の設定がされています。

◆勤務間インターバル導入のメリット
 厚労省の有識者検討会報告書によると、
<導入のメリット>
①健康維持に向けた睡眠時間の確保につながる。
②生活時間の確保によりワークライフバランスの実現に資する。
③魅力ある職場づくりにより人材確保・定着につながる。
④企業の利益率や生産性を高める可能性が考えられる。
とされています。
 政府は2018年1月現在で1.8%にとどまっている導入企業の割合を、2020年までに10%以上とする目標を掲げています。4月からは勤務間インターバルにかかわる「時間外労働等改善助成金 勤務間インターバルコース」の助成金額が倍の最大100万円まで増額されます。労働能率を改善する物品やソフトの購入、入れ替えも対象になるのでこれを機会に労務環境に手を入れるのが賢いでしょう。

【時事解説】自動運転車の実用化がもたらす業界の変化 その2

 いま、世の中で注目を集める自動運転技術。自動車産業だけでなく、他の産業にも大きな影響を与えることが注目の理由です。新たに生まれる市場として、自動運転タクシーやライドシェア(自動車の相乗り)などの関連サービス、さらには農業分野での無人耕作機といった分野が挙げられます。

 また、自動運転の実用化で業務形態が変わり、ひいては業界勢力図までが変化する可能性もあります。その一つが小売業です。現在、米国の通販会社では、自動運転で有力なスタートアップ企業と提携したところもあります。自動運転技術を用いれば、運転手の代わりに人工知能(AI)が目的地までの最短最適な移動経路を選択し荷物を運びます。現在、ネット通販では、配送業界の人手不足が広がり、問題となっています。こうした課題を解決するために自動運転は有望視されています。

 さらに、自動運転で「自宅前まで来てくれるお店」といったサービスも実用化が見えてきました。消費者の中には、モノを買うなら手に取って選びたいという要望は根強くあります。現在、小売業(実店舗)はネット通販に押されています。が、自動運転により、業界の勢力図が大きく変化する可能性もあります。

 具体的には、米国のスーパー大手が自動運転の食品販売車を導入する計画を発表しています。顧客はアプリで販売車を希望の場所に呼び出し、欲しい商品を買います。支払いは、自動的に課金されメールでレシートを受け取ることで完了します。また、上海では、自動運転で到着するスーパーマーケットが実験的に実施されました。日本では、2019年度に、自動運転車で移動するコンテナ型の店舗の実験が実施される予定です。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】自動運転車の実用化がもたらす業界の変化 その1

近年、注目の技術に自動車の自動運転があります。注目される理由は、実用化にあたり様々な商機が生まれる点です。では、どのような事業に利益をもたらすのでしょうか。

 もっとも大きな恩恵を受けるのが自動車産業で、自動運転車の普及で自動車の販売台数の増加が見込めます。米国の調査会社のレポートでは、2030年、無人型自動運転車は全世界で販売額が4兆2,000億円にのぼると試算されています。また、条件付きの自動運転車(完全無人型ではない)まで含めると、販売額は22兆円ともいわれています。

 今後、自動運転技術はますます実用化に拍車がかかりそうです。トヨタは高速道路で車線変更などができる自動運転技術を2020年に実用化する方向で取り組んでいます。さらには、一般道での実用化や完全自動運転ができる技術の開発も進めています。

 自動運転の市場において、恩恵を受けるのは自動車会社だけではありません。自動運転向けセンサーや車載向け組込ソフトウェアといった、車に搭載する部品などのメーカーにも利益をもたらすことが予想されます。

 もう一つの注目は車内の過ごし方が大きく変わる点にあります。現在、法律では運転中に携帯電話の通話などを禁止しています。ところが、自動運転の実用化に伴い、道路交通法の改正試案が公表され、一定の条件下で自動運転中のスマートフォンや携帯電話の使用が認められる方向で進んでいます。これにより、運転中でのスマホや、携帯電話での通話やメールのほか、インターネットの閲覧、簡単なゲームといったことが可能になります。結果、自動運転車向けのコンテンツや広告市場の拡大が見込まれます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】中小企業における人材育成 その2

では、中小企業において、具体的にどのような人材育成の取り組みがみられるのでしょうか。そこで「中小企業白書2018年版」において、外部機関等も活用しつつ計画的な人材育成を行い従業員の能力向上に取り組んでいる企業の事例とした紹介された、株式会社サニカ(本社:山梨県南アルプス市、従業員数175名)の事例についてみていきましょう。

 株式会社サニカは、駐車場システム機器及びメカトロニクス機器等の開発・生産を行っている企業です。同社の研修体系は、これまで主任研修や課長研修といった階層別研修に加え、OJTと自己啓発支援が中心でしたが、人手不足が深刻化する中、これまで以上に個々の従業員の能力・技術向上が必要との認識に至りました。
 そこで、社内の各部門の業務に必要な能力、技術、資格を洗い出し、それらを証明するための技能・資格制度をリストアップしました。これを「社内認定資格制度」とし、当該リストの技能・資格制度に必要な受験手数料や学習講座の受講料を会社が費用負担することとしました。

 また、階層別の研修は、自社内で研修プログラムを準備することが難しいため、外部機関の人材育成カリキュラムを利用しており、毎年複数人を計画的に外部研修に参加させています。外部研修は日数の制約がある一方で、受講者がどのような知識が欠けているのかを把握できるとともに、同じ立場の受講者と一緒に研修を受けることで、良い刺激となるなどの効果もみられるとのことです。

 このように中小企業の人材育成においては、教え手側の人材不足という課題を克服する意味でも、外部機関等を活用した取り組みと自社の取り組みとをうまく組み合わせることが求められるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】中小企業における人材育成 その1

中小企業が人手不足に対処していくためには、労働投入量を節約するという工夫に加え、人材育成・能力開発を通じて個々の従業員が生み出す付加価値を向上させていくことが求められます。

 「中小企業白書2018年版」において、企業がOJT(日常の業務に就きながら行われる教育訓練)とOFF-JT(業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練)のいずれを重視しているかを、厚生労働省「平成28年度能力開発基本調査」のデータを用いて企業規模別に整理した結果をみると、企業規模を問わず「OJTを重視する」、「OJTを重視するに近い」の回答が大半を占めており、企業側がOJTを重視していることが示唆されています。一方で、「OFF-JTを重視するに近い」、「OFF-JT を重視する」と回答した割合の合計は企業規模を問わず20%を超えており、OFF-JT を重視する企業が一定数存在することがみてとれます。企業側が実施したOFF-JTの内容についてみると「新規採用者など初任層を対象とする研修」が、企業規模を問わず最も高い回答割合となっており、かつ規模が大きくなるほどその割合が高くなっています。

 次に、人材育成・能力開発を行うにあたっての課題を企業規模別に整理した結果をみると、企業規模を問わず「指導を行う人材が不足している」といった教える側の人材不足に関する回答割合が最も高くなっており、かつ規模が大きくなるほどその割合が高くなっています。一方で規模が小さくなるほど、「鍛えがいのある人材が集まらない」といった、教えられる側の人材不足の課題を抱えている企業の割合が高くなっています。このように中小企業における人材育成といっても企業規模によってその課題に違いがみられるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》夜勤明けの年次有給休暇

◆2019年4月から有給休暇の改正があります
 年次有給休暇について皆さんの会社ではどのように管理しているでしょうか。2019年4月より年次有給休暇の5日以上取得の義務化があり、有休の取扱いについてさらに注目度が上がっていくでしょう。
 年休の取扱いは各個人ごとの管理が必要で複雑化しやすい傾向があります。今後の有休管理については有休管理簿を備え付けることが義務化される等、大きく変化してきています。
 そんな中、今回は深夜勤務後の有給休暇について見ていきます。

◆夜勤明けは年次有給休暇にしていいの?
 夜勤明けがある場合、夜勤明けの日を休みにすることが多くあります。例えば17時から翌2時という夜勤明けの取扱いですが、昼から連続して厳しい深夜勤務を会社が命じるとすれば、夜勤明けを休んでもらうのは働いている人への安全配慮の観点からも望ましい措置といえるでしょう。賃金カットをせずに特別の有給休暇とするのがベストですが、翌日休んだ分を欠勤として扱う分には問題ありません。
 ここで話題になるのは翌日を年次有給休暇として処理できるかという点ですが、原則、有休とすることはできません。労働基準法上の年次有給休暇は1日単位が原則です。この「1日」というのは原則として午前0時から午後12時までの暦日とされているので、今回のように翌日の2時になってしまったときは1日として扱うことができません。仮に働いている人が夜勤明けを年休扱いにしてほしいと希望してきても原則できません。また、年休は労働者の希望する時季に与えなければなりませんので、会社が指定して年休取得させてしまうこともできません。

◆激変する環境に対応していくためには
 有休の取得率を代表とする会社の労働環境が原因で離職する人は全体の2割に上るといわれています。法律に則った範囲であれば罰せられることはありませんが、人手不足時代の今、人材の採用や定着にかかわる原因の一つとなっています。昨今の企業を取り巻く激変する環境に対応していくためにも、有休のとり方を今一度見直してみるいい機会です。

公示地価、地方都市の伸び加速

国土交通省が3月に発表した今年1月1日時点の公示地価によると、全国の地価は前年から1.2%上昇し、4年連続の上昇となりました。住宅地ではリーマン・ショック以来の上昇に転じた前年からプラス幅を拡大し、地方圏では全用途でバブル期以来27年ぶりのプラスに転じるなど、近年続く上昇傾向を全国的に維持しました。ただし都市部以外の地方では下落幅の縮小は見られるものの全用途でマイナスが続き、交通に便利で都市部に近いエリアでの地価が上がる一方、下落が続く地点も依然多い状況です。

 4年連続の上昇を主導したのは、都市部の商業地の地価上昇です。商業地は前年の1.9%上昇からさらに伸びて全国平均で2.8%上昇。三大都市圏では東京圏で前年比4.7%、大阪圏で6.4%、名古屋圏4.7%と軒並み伸びましたが、さらに札幌、仙台、広島、福岡など地方中枢都市では、前年の7.9%をさらに上回る9.4%の著しい上昇を示しました。海外からの観光客が増加していることを背景に店舗やホテルなどの需要が高まったことに加え、国土交通省によれば金融緩和を背景とした法人投資家などによる不動産取得が地価高騰に拍車をかけているそうです。

 住宅地ではリーマン・ショック以来の下落が17年に止まり、18年に0.3%のプラスに転じましたが、今年はさらに上昇幅を広げ0.6%増となりました。全国的にも上昇や下落幅の縮小がみられましたが、地域間には大きな差が出ています。三大都市圏が1.0%上昇、地方中枢都市が4.4%と前年以上に上昇する一方で、それ以外の地方圏は0.2%の下落となりました。高齢化と人口減少が進むなかで、より生活に便利でインフラの整備されている都市部に人が集まる状況がうかがえます。

<情報提供:エヌピー通信社>