《コラム》~ものづくり・商業・サービス生産性 向上促進補助金~公募開始

◆補助金の趣旨と仕組み
 この補助金は中小企業・小規模事業者が取り組む生産性向上に資する革新的なサービス開発・試作品開発・生産性プロセスの改善を行うために必要な設備投資等を支援するものです。認定支援機関の全面バックアップを得た事業を行う中小企業・小規模企業が対象となっています。
 機械装置費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウド利用費などが補助の対象になりますが、事務所の家賃や電話代など、一般的な諸経費は補助の対象になりません。ものづくり補助金の特徴ですが、経費については先に支払い、決定後に補助金が下りる仕組みになっています。そのため前もってキャッシュの準備が必要です。

●補助上限額・補助率
・一般型:補助上限額100万~1,000万円、補助率1/2以内 ※
・小規模型:補助上限額100万~500万円、補助率1/2以内(小規模事業者は2/3以内)
※一般型は原則1/2以内の補助率ですが、右欄の加点項目①の条件を満たした場合は補助率が2/3以内になります。

●対象要件
「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で示された方法で革新的なサービスを創出する、もしくは「中小ものづくり高度化法」に基づき革新的な試作品の開発・生産プロセスの改善の実施に取り組むこと

●審査における加点項目
(1)固定資産税ゼロの特例を措置した市区町村で平成30年12月21日以降に先端設備等導入計画を申請し、認定を取得した企業(申請中を含む)
(2)総賃金の1%賃上げ等に取り組む企業
(3)小規模型に応募する小規模企業者
(4)過去に購入型クラウドファンディングで支援金額を集めた企業
(5)平成30年北海道肝振東部地震により被害を受けた企業

今回は、第二次締切は5月8日(水)となっています。素早く申請が完了する電子申請の利用をお勧めします(第一次の締切は2月23日でした)。

《コラム》毎月勤労統計の不適切調査

◆毎月勤労統計調査の問題発覚
 昨年12月に発覚した、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の調査方法が誤っていた事が分かり、失業給付等の過少給付に繋がったとしてニュースになっていました。
 毎月勤労統計調査は従業員の賃金の変化
等を把握するために実施されています。調査対象は全国の従業員5人以上の事業所で、5~499人の事業所は無作為に抽出し、500人以上の事業所すべてと合わせて約3万3,000事業所となります。
 調査は都道府県を通じて実施していますが、15年前の2004年から東京都内の従業員500人以上の事業所については3分の1程度しか調査をしていませんでした。その理由は明らかにされていません。
 問題が発覚したきっかけは、昨年12月、厚生労働省の担当職員が総務省の統計委員会のうちあわせで、「東京以外の地域でも500人以上の事業所について抽出調査を実施したい」と述べた事だとされています。これが重大なる違反と指摘され問題が表面化しました。

◆過少給付延べ1,973万人、567億円
 規模の大きな企業は賃金水準が高い傾向にあり、このため多くの事業所を調査していなかった事により統計の平均給与額が本来よりも低く算出されました。これが雇用保険や労災保険の給付する際の算定根拠になっているので給付水準が下げられました。職員は不適切と知りながら組織全体での情報共有はなされていなかったと言います。
 過少給付の対象者は延べ1,973万人、総額は537.5億円に上ります。政府は過少給付のあった方には不足分を追給します。

◆雇用保険や労災保険の給付に影響
 過少給付で多かったのは雇用保険で延べ約1,900万人に計約280億円、休業補償等労災給付は延べ約72万人に計約241.5億円ありました。船員保険でも約1万人に約16億円の不足がありました。追加給付1人当たり平均額は雇用保険が1,400円、労災年金給付で9万円に上りました。
 統計調査が実態とかけ離れていたのでは本来の給付に大きく影響してしまいます。1人1人の不足金額は大きくないものの、統計に対する信頼を失わせた事が大きいと言えるでしょう。

 

不倫相手への離婚慰謝料認めず

離婚に伴う精神的苦痛の慰謝料を元配偶者の不倫相手に請求できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は2月中旬、「特段の事情がない限り、請求できない」とする初判断を示しました。

 判決によると、損害賠償を訴えた男性の元妻は2009年から職場の同僚と不倫。約1年後に発覚し、元妻は不倫関係を解消して結婚生活を続けましたが、不倫行為で受けた精神的苦痛の慰謝料(不貞慰謝料)の請求権の時効(3年)が消滅した後の15年に離婚しました。その後、男性が離婚慰謝料に関する損害賠償請求権が失われていなかったため、元妻の不倫相手に約500万円の賠償を求め提訴しました。

 不貞慰謝料はその不倫相手に請求できますが、離婚慰謝料まで請求できるかどうかに関する最高裁の判断は、これまでありませんでした。裁判では、①請求権の時効(3年)が経過しても損害賠償を請求できるか、②不貞慰謝料ではなく、離婚慰謝料を請求できるか――の二点が主な争点となりました。1、2審判決は「不倫が原因で結婚生活が破綻した」と、不倫と離婚の因果関係を認めた上で、離婚慰謝料として約200万円の支払いを命じていました。

 同小法廷は「離婚は本来、夫婦間で決めるべき事柄」とし、「不倫が原因でも不倫相手がただちに責任を負うことはない」と指摘。不倫相手が責任を負う場合について「不倫相手が夫婦関係に不当に干渉し、特段の事情によって離婚させた場合に限る」などと結論付け、1、2審判決を破棄し、原告の男性の請求を棄却し、男性の逆転敗訴が確定しました。

 離婚までに不貞行為が終わって数年が経過し、不貞慰謝料の消滅時効も成立しているのに離婚慰謝料として賠償を求めるのは、例えば10年を超えた不貞行為についても拡大解釈をされかねない余地を残すことになります。本来、責任があるとすれば、夫婦間の約束を破った元妻に限定されるべきでしょう。

<情報提供:エヌピー通信社>

今月の税務トピックス② 税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹

(今月の税務トピックス①よりつづく)

Ⅱ 対価の額が契約で定められていること
 前述したⅠ①における「対価の額が契約で定められている」とは、31年指定日の前日までの間に締結された契約においてその契約期間中の対価の総額が具体的な金額により定められている場合又は総額が計算できる具体的な方法が定められている場合とされます。
 具体的には、次に掲げるような契約とされます(31年経過基本Q&A問30)。
① 契約期間中の賃貸料の総額を定めているもの
② 賃貸料の年額、月額等を、例えば、「年(月)額○○円」と定めており、これに契約期間の年数、月数等を乗じることにより、契約期間中の賃貸料の総額を計算できるもの
③ 貸付けに係る資産の数量及び賃貸料の月額単価を、例えば、「○台貸付け、1台当たり月額○○円とする。」と定めており、これに資産の数量及び契約期間の月数を乗じることにより、契約期間中の賃貸料の総額を計算できるもの

Ⅲ 事情変更等による建物の貸付けに係る対価の変更等
 建物の賃貸借については、借地借家法が適用され、「借賃増減請求権(借地借家法32)」の規定により、事情変更があった場合には賃料の増減請求ができることとされています。
 ただし、建物の賃貸借に係る契約において、賃貸する者がその貸付けに係る対価につき増減しない旨の特約を記載すれば、その契約は前述したⅠ②に掲げる「対価の額を変更することができる旨の定めがないこと」に該当し、31年経過措置の特例の適用要件を満たすこととされます(31年経過通達18)。
 また、前述したⅠ②における「対価の額を変更することができる旨の定め」とは、本体価額の変更ができるか否かで判定されます。

おわりに
 関東近郊では、東京オリンピックを目前としてホテルやオフィスビル等の建築ラッシュとなっています。これに対して、バブル期前後に建築され老築化してきた賃貸ビルでは空室が目立つようになってきています。
 そこで、これら不動産賃貸の物件のうち、賃借人が長期間転居する予定のないものについては、31年指定日の前日までの間に契約内容を見直すことによって、例えば貸付期間10年で最初2年間は〇〇円、次の2年間〇〇円というように、10年間の家賃を定め、前述したⅢに掲げる賃貸人の「借賃増減請求権」がない旨を契約書に記載すれば、賃借人が負担する消費税を旧税率で固定することも可能となります。
 実務上では、31年経過措置の特例の上手な活用方法を検討すべきでしょうね。

 

(後編)内閣府:マイナンバー制度に関する世論調査結果を公表!

(前編からのつづき)

 他の理由として、「身分証明書になるものはほかにあるから」が42.2%、「個人情報の漏洩が心配だから」が26.9%、「紛失や盗難が心配だから」が24.9%、「申請手続きが面倒だから」が21.3%と続きました。

 今後マイナンバー制度に期待すること(複数回答)は、「年金やパスポートの申請時に、戸籍謄本などの添付書類が不要になり、手続きが簡単になること」が40.8%で最多、以下、「年金の給付漏れがなくなるなど、必要とする人たちにきめ細やかな支援を行うことができること」が25.1%、「社会保障、税、災害対策の各種行政事務の効率性が高まること」が21.8%と続きました。

 また、様々な手続きでマイナンバーを届け出したり、記載したことがある人は62.9%を占め、場面別(複数回答)では、「職場やアルバイト先で給料や社会保険の手続きをしたとき」との回答が29.1%で最多、以下、「年末調整や確定申告をしたとき」が25.3%、「国民健康保険の手続きをしたとき」が9.1%と続きました。
 今後のマイナンバー制度の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年2月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(前編)内閣府:マイナンバー制度に関する世論調査結果を公表!

内閣府は、マイナンバー制度に関する世論調査結果(有効回答数1,671人)を公表しました。
 それによりますと、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)について、マイナンバーカードを「取得していないし、今後も取得する予定はない」との回答は、53.0%を占めました。
 また、「取得している、もしくは取得申請中」が27.2%、「取得していないが、今後取得する予定」が16.8%となりました。

 マイナンバーカードを取得した(する)理由(複数回答)は、「身分証明書として使えるから」との回答が46.7%で最多、以下、「将来利用できる場面が増えると思ったから」が25.9%、「住民票などがコンビニで取得できるから」が19.6%、「職場などで必要になったから」が19.2%、「確定申告などの行政手続きをインターネットで行えるから」が19.0%と続きました。
 一方で、マイナンバーカードを「取得していないし、今後も取得する予定はない」と回答した人の理由(複数回答)は、「取得する必要性が感じられないから」が57.6%で最多を占めました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年2月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》“従業員満足度”とは

“従業員満足度”(ES:Employee Satis-faction)とは、仕事内容・職場環境・福利厚生・人間関係の満足度・モチベーションなどを定量的に表したもので、企業の業績・企業価値向上に大いに貢献するとされています。
 また、“従業員満足度(ES)”の高さは、“顧客満足度(CS)”とイコールであると言う経営者が、サービス業に多いことに注目すべきです。

◆何故「CS」=「ES」なのか
 特にサービス業では従業員が直接接客するので、顧客の感じる「嬉しさや不満」が従業員にダイレクトに伝わります。「自分の言動」に対する「顧客のプラス反応」は、「お役に立って喜ばれた!」という「仕事の喜び・働きがい」として実感されるのです。
 報酬や福利厚生制度などが整っていることは、ESの重要な要因でありますが、それのみで“従業員満足度”を高めることはできず、日常のマネジメントでは、「働きがい」を引き出すことに、最重点を置くべきです。

◆「働きがい」の向上を図るには
 「働きがい」の向上は自分達が工夫した「あいさつの仕方、商材のすすめ方、使う言葉など」を実際に使い、お客様に喜んでいただけたことが重要です。
 すなわち、職場の仲間が「仕事研究集団」となって、お客様の立場になって嬉しいサービスについて、様々なアイデアを出し合い、実際に試して効果を確かめ、自分達のノウハウにする日々の努力が欠かせません。

◆経営者・管理者の留意点
 少子高齢化が進む日本の社会にあっては、サービス業の生産性向上が不可欠です。
 ここで採り上げた“従業員満足度”の向上は、「お客様の期待を超える商品やサービスの提供」がリピーターを増やし、業績向上につながる、という意味で、生産性の分母(従業員数)を一定に抑え、“従業員満足度(働きがい)”で働き方の質を高める一方、分子の業績をリピーターの増加で増やす生産性向上策となるのです。
 このような、従業員の働きがい向上には、マネージャーが、従業員のやる気を引き出すマネジメント能力、言い換えれば、ファシリテーション能力が必要不可欠となります。これは、従来の「指揮・命令型」のマネジメントからの転換とも言えます。

 

《コラム》学生アルバイトの社会保険適用

◆アルバイト学生の社会保険加入は
 アルバイトで働く方であっても、労働時間や出勤日をその会社の正社員と比較してそのアルバイトの1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上であれば健康保険・厚生年金に加入させなければなりません。
 しかし、学生アルバイトの場合はどうでしょうか? 「学生の本分は勉強でありアルバイトは空いた時間に従事しているだけだから社会保険に加入させなくともよい」と考えがちです。しかも学生自身、親の扶養家族になっているのが一般的ですので本人が社保加入を考える事はないでしょう。
 親の健保の被扶養者である所得要件は年収130万円未満であり、勤務状況が上記の加入義務要件を満たした場合は健康保険・厚生年金保険の加入対象者になります。社保加入を避けるためには労働時間や出勤日数の軽減を検討する事になります。

◆アルバイト学生の雇用保険加入は
 労災保険や雇用保険はどうでしょうか?労災保険は正社員、アルバイト・パート、日雇労働者等名称に関係なく労働者であれば全員が適用になります。会社は学生アルバイトが業務上や通勤途上でけがをした場合は労災保険を適用します。
 雇用保険の加入要件は、1)週の所定労働時間が20時間以上である事、2)31日以上の雇用見込がある事の2つでアルバイトでも加入対象者です。原則として昼間学生は雇用保険の加入義務はありませんが、1)適用事業所に雇用され卒業後も引き続き当該事業所に雇用される事となっている人、2)休学中の人、3)定時制課程の学生 4)前1~3に準ずる者として職業安定局長が定める場合は加入義務があります。

◆所得による国民年金学生納付特例の有無
 20歳以上で学生の期間中は国民年金保険料の納付特例を使って納付猶予をしている方も多いと思います。これを使う場合の学生本人の所得要件ですが、118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等以下であれば国民年金保険料納付特例制度が利用できます。ちなみにアルバイト収入が年103万円を超えると所得税がかかります。

【時事解説】アベレージヒッターかホームランバッターか その2

そこで、過去の実績としての財務指標よりも、企業の将来性を判断する事業性評価に重点をおくべきだ、といった議論が沸き起こっています。財務指標でいえば、過去の実績ではなく、将来のキャッシュフローを重視すべきだという主張です。将来キャッシュフローは将来損益計算書が描けなければ構築できませんから、銀行員に求められる能力は過去の貸借対照表の分析ではなく、将来の損益計算書の予想であるということができます。

 しかし、こうした融資姿勢の転換は口で言うほど簡単ではありません。なぜなら、融資の根幹に関わる哲学が違うからです。自己資本比率を重視する融資姿勢は確実性を重視し、危険が少ないローリスク・ローリターンを目指すものです。一方、将来キャッシュフローを重視する融資姿勢のポイントは将来の事業性ですから、100発100中というわけにはいきません。多少の失敗には目をつぶり、大化けする企業を見出すハイリスク・ハイリターンの世界に入ることになります。

 野球で言えば、ヒットで出たランナーを送りバントとスクイズで確実に1点を取るスタイルを狙うのか、あるいは、最初から大振りして、場合によっては三振もするかもしれないがあくまでホームランを狙うのかです。つまり、アベレージヒッターかホームランバッターかの違いです。

 銀行は長い間アベレージヒッターであることをよしとし、そういう人間を育ててこようとしてきました。また、銀行に入ろうとする人間もどちらかといえば、アベレージヒッターを目指そうという人間が多いはずです。そんなことを考えるとホームランバッターへの転換は容易ではないと思います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

【時事解説】アベレージヒッターかホームランバッターか その1

 銀行は預金者から預金を預かり、資金を必要とする人(主として企業)に貸し付けることが仕事です。そこから、銀行には二つの役割があることが分かります。一つは預金者から預かった預金を、利息を付けて確実に預金者に返還する預金者保護であり、もう一つは資金を貸し付けた企業を成長させる産業の育成です。そのどちらに重点を置くかで、銀行の融資姿勢は異なってきます。今までは、どちらかというと、預金者保護に重点が置かれていましたが、銀行に対する期待は変わりつつあります。

 貸し付けた資金が貸し倒れになると、預金者に確実に預金を返還できなくなってしまいますから、銀行は何より貸し倒れを回避することを優先して融資を行ってきました。その結果、融資の返済財源は確実性を重視して、以下のように考えます。

 銀行が融資に際して、最も重視する指標は貸借対照表から算定される自己資本比率(自己資本/総資産)です。自己資本比率は企業が今後どう動いていくかということには興味はなく、現在所有している(直近の決算書で表示される)財産から返済できる返済力を計算しようとするものです。将来予想は不透明ですが、現在所有している財産は確実です。自己資本比率をベースに返済の確実性を評価して、将来の不確定性に対しては物的担保を取り、保全するというのがこれまでの銀行の基本的な融資姿勢でした。

 しかし、このような銀行の旧来型融資姿勢に対し、次のような批判が起こっています。過去の実績中心の評価だと、老舗の企業には有利だが、これから成長する新興企業には不利になるとか、今までの実績は不振だったが、企業改革等により良くなる企業を判別することができない等、こうした硬直的な融資姿勢だから貸し出しは伸びず、地域も活性化しない、といった批判です。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)