2017年度税制改正:中小企業向け租税特別措置の適用停止に注意

 2017年度税制改正において、多額の所得があり、財務状況が脆弱とは認められない企業が、中小法人課税の適用対象となっているとの批判をふまえ、一定所得金額を超える事業年度の租税特別措置の適用を停止する措置が盛り込まれました。
 具体的には、「法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置について、平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円を超える事業年度の適用を停止する」とされました。
 なお、この停止措置の適用前に適用期限を迎える租税特別措置についても、2018年度以降の税制改正で適用期限が延長された場合には、この租税特別措置の停止措置の適用対象に含まれます。

 また、この適用停止措置について、設立後3年を経過していない等の事由がある場合には、その計算した金額に一定の調整を加えた金額により判定するなどの判定方法が政令により明らかにされております。
 それによりますと、適用停止となるのは、各種租税特別措置適用前の3年以内に終了した各事業年度(基準年度)の所得金額の合計額をその各事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じた金額が「15億円を超える法人」が該当します。

 具体的に、政令から調整事由とそれに対する調整金額をみてみますと、「3年以内に終了した各事業年度」がない、設立後3年を経過していない法人は、基準年度の所得金額の年平均額をゼロとすることができます。
 また、判定する際の所得金額が欠損金繰越控除後の金額とされていることのバランスから、欠損金の繰戻し還付の適用があった場合には、その還付の計算の基礎となった欠損金額相当額を還付対象の基準年度の所得金額から減らす必要があります。

 そして、判定する法人が合併等により設立された場合や、支配関係がある法人を被合併法人等とする合併、休眠法人を合併法人等とする合併が行われた場合には、原則、その合併等に係る被合併法人等の所得の金額を合併法人等の基準年度の所得金額に加算することを明らかにしており、法人の成り代わりによる租税特別措置の適用停止措置逃れを防止するため、基準年度がない場合に年平均額をゼロとする措置は適用されません。
 上記の改正は2019年4月1日以後に開始する事業年度から適用されますので、該当されます方は、ご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年11月13日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

やむを得ない役員給与の改定・変更 臨時改定事由・業績悪化改定

◆やむを得ない役員給与の改定・変更
 法人税法上、損金算入ができる「定期同額給与」「事前確定届出給与」は、職務執行前(定時株主総会)に「あらかじめ支給時期・支給額が定められているもの」に基づき支払われることを前提としています。
 ただ、給与を「先決め」した後に経営環境が変化することは、よくあること。そこで、次の「臨時改定事由」「業績悪化改定事由」による改定・変更が認められています。

◆「臨時改定事由」とは
 「臨時改定事由」とは、次の①や②に類する役員給与を変更せざるを得ないやむを得ない事情をいいます。
①役員の職制上の地位の変更
②役員の職務の重大な変更
 ①は役員の分掌変更があったケースです(例えば、社長が任期途中で退任したことにより副社長に就任した場合)。この「役員の職制上の地位」とは定款や総会決議等により付与されたものをいい、「自称専務」などは該当しません。
 ②は組織再編成があったケースなどが該当します(例えば、合併法人の取締役で、その職務内容に大幅な変更がある場合)。
 会社の不祥事に当たり役員給与を一定期間減額するケースも、社会通念上相当であれば、定期同額給与の減額改定・増額改定とも臨時改定事由に当たるとされています。

◆「業績悪化改定事由」とは
 「業績悪化改定事由」とは、その事業年度において会社の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する事由をいいます(減額改定のみ)。財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことのほか、次のような場合が該当します。
(業績悪化改定事由の例)
①株主との関係上、業績悪化等について経営上の責任を問われ減額した場合
②取引銀行との借入金返済のリスケジュール協議で要請され減額した場合
③経営悪化の状況下で取引先等からの信用確保のため、経営改善計画が策定され、役員給与減額が盛り込まれた場合
 これらは、会社の経営上、役員給与を減額せざるを得ない「客観的な事情」(例 主要取引先の倒産やリコール発生により業績悪化が不可避)があるかどうかにより判定します。裁決では経常利益6%減の会社が行った減額改定が否認された例があります。

使用人賞与の損金算入時期

はじめに
 使用人賞与は、原則として実際にその支払が行われた日の属する事業年度において損金の額に算入することとされています。ただし、未払賞与については、例外として実際に支払いが行われたものと同様な状態にあるものに限定し、損金算入が認められています。
 そこで、本稿は、使用人に対して支給した賞与の損金算入時期の概要とその実務上の留意点について解説します。

Ⅰ 制度の概要
1 原則(法令72の3①三)
 法人が各事業年度において、使用人に対して支給する賞与のうち、下記2に掲げる賞与以外のものについては、その支払をした日の属する事業年度において損金の額に算入することができます。

2 例外
 (1)支給予定日が到来している賞与(法令72の3①一)
 法人が各事業年度において、使用人に対して支給する賞与(使用人兼務役員に対する使用人部分を含みます。以下同じ)のうち、労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来しているもの(使用人にその支給額が通知されているもので、かつ、その支給予定日又はその通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理したものに限ります。)については、その支給予定日又はその通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度において損金の額に算入することができます。

 (2)決算賞与(法令72の3①二)
  法人が各事業年度において、使用人に対して支給する賞与のうち、次に掲げる全ての要件を満たすものについては、その支給額の通知をした日の属する事業年度において損金の額に算入することができます。
  ① その支給額を各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。
  ② ①の通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支払っていること。
  ③ その支給額につき①の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

Ⅱ 支給額の通知(法基通9-2-43)
 法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、上記Ⅰ2(2)に掲げる「通知」には該当しないこととされます。

Ⅲ 同時期に支給を受けるすべての使用人(法基通9-2-44)
 法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマー又は臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除きます。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに上記Ⅰ2(2)に掲げる支給額の通知を行ったかどうかを判定することができます。

おわりに
 上記Ⅰ2(2)に掲げる決算賞与を未払計上する場合には、実際に通知書を作成して使用人に交付し、その写しに使用人の確認印を受けるなど使用人に対する通知の事実を後日立証できる様にすべきでしょう。また、①使用人に対して支給額の通知を行ったとしても支給日までに退職した者に対しては賞与を支給しなかったケース、②結果的に退職した者がいなかったため通知した金額を全額支給したケースについても、就業規則などでその通知した支給額について退職者には賞与を支給しないこととされている場合には、その未払賞与は、損金の額に算入することはできません。特に、社会保険労務士が作成している就業規則の基本書式を採用している会社においては、税務調査で問題となっているようですので留意して下さい。

退職した従業員に係る未払賃金等の課税関係

 

はじめに
 ブラック企業対策と称して低価格の相談料で労働問題を専門に扱う弁護士等が急増しているそうです。この傾向を受けて、円満退社した元従業員から未払い残業代及び慰謝料の支払請求を受け、和解、裁判等、示談及び協議等(以下単に「和解等」といいます。)により解決するケースも増加しているようです。

 そこで、本稿は、和解等による解決金としてこれら金員が発生する場合の課税関係とその実務上の留意点について解説します。

Ⅰ 未払い残業代等の課税関係
1 元従業員の取扱い
 和解等によって支払を受ける金員は、その性質によって課税関係が異なります。
 和解金の発生の要因が雇用関係に基づくものであり、労務の対価としての性格を有するものであれば、「給与所得」又は「退職所得」とされます。
 このうち、和解調書において「時間外労働の実態及び未払い残業代を支払うことを認める」と記載されていれば、その未払い残業代は各支給日の属する年分の給与所得として課税されます(所基通36-9)。
 そこで、元従業員においては、各支給日の属する各年分における年末調整のやり直し又は所得税の申告書等(期限後申告書及び修正申告書)の提出が必要となります(所基通190-4)。
 なお、未払い残業代について、遅延損害金が支払われる場合には、その遅延損害金は、その支払われた日の属する年分の「雑所得」として課税対象とされます。

2 法人の取扱い
 和解等によって元従業員に対して支出する金員で、その支出の要因が雇用関係に基づくものであり、その労務の対価として支払われるものであれば、使用人給与としてその賠償すべき金額が確定した日(いわゆる和解の成立した日)の属する事業年度の損金の額とされます(法法22③二)。

Ⅱ 慰謝料の課税関係
1 元従業員の取扱い
 和解金の性質が、「心身に加えられた損害に基因するもの(所令3 0①一)」及び「相当の見舞金(所令30①三)」に該当するものであれば、所得税は課されません。
 ただし、和解金名目の金員であっても、元従業員の未払い残業代に相当する金員については、その実態に応じて「給与所得」として課税対象とされます。また、未払い残業代のうちに、セクシャルハラスメント等の慰謝料に該当する部分が含まれている場合には、所得税は課税されません。
 なお、非課税とされる見舞金等の額に該当するか否かの判断は、心身に加えられた損害の程度等を考慮して社会通念上相当と認められる範囲内の金額に限られますので、相当の見舞金を超える部分は、「一時所得」又は「雑所得」として課税対象とされます。

2 法人の取扱い
 法人が元従業員に対して支払う和解金は、和解等によって、その賠償すべき金額が確定した日(いわゆる和解の成立した日)の属する事業年度の損金の額に算入します。

Ⅲ 源泉所得税の課税関係
1 元従業員の取扱い
 和解金として支払われた損害賠償金の金員でも、その支払を受ける者において給与等として課税されるものである場合には、その支払者はその支払の際に所得税の源泉徴収を行わなければなりません(所法28①,同法183①,所基通161-46)。
 この場合において、法人において、下記2に掲げる年末調整が行われていない場合(源泉徴収票の摘要欄に年末調整未済と記載されている場合)には、各支給日の属する各年分の給与所得の申告が必要となります。その際、法人より各年分の源泉徴収票が本人に交付されますので、その源泉徴収票を添付して確定申告(期限後申告等)することとなります。
 なお、源泉徴収票の作成日において未払残業代があり、法人において未徴収の源泉徴収税額がある場合には、源泉徴収票の源泉徴収税額の欄は、その未徴収税額が内書き表示されています。

2 法人の取扱い
 法人は、各年分の未払残業代についてその支払の際に源泉徴収を行い、その支給の日の属する月の翌月10日までに国に納付します(所法183①)。
 この場合において、原則として、法人において本来、未払残業代が支払われるべきであった年分の年末調整をやり直さなければなりません(所基通190-4)。

おわりに
 法人が退職した元従業員から未払い残業代及び慰謝料の支払請求を受け、和解等による解決を行う場合、和解調書への記載方法等にかかわらず、課税庁サイドにおいては、その過程である訴状の内容、答弁書の内容、準備書面の内容などの裁判資料を基として、和解金の発生源泉に沿った事実認定を行い、実態に沿った課税がなされることとなりますので、留意して下さい。

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減価償却方法の改正

概要

平成28年4月1日以後に取得をされた建物附属設備及び構築物並びに鉱業用減価償却資産のうち建物、建物附属設備及び構築物の償却の方法について、定率法が廃止されました。

適用時期

平成28年4月1日以後に取得をされた減価償却資産に係る改正内容は、同日以後に終了する事業年度の償却限度額の計算について適用され、同日前に終了した事業年度の償却限度額の計算については、従来どおり適用されます。

 

美術品等についての減価償却資産の判定の改正

美術品等についての減価償却資産の判定の改正の概要

 改正前の通達の取扱いでは、①美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る作品であるか、②取得価額が1点20万円(絵画にあっては号当たり2万円)以上であるかにより、美術品等が減価償却資産に該当するかどうかを判定していました。

 改正後の通達では、取得価額が1点100万円未満である美術品等は原則として減価償却資産に該当し、取得価額が1点100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産に該当するものとして取り扱うこととしました。

 なお、取得価額が1点100万円以上の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当する場合は、減価償却資産として取り扱うことが可能です。

 取得価額が1点100万円未満の美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの」は、減価償却資産に該当しないものと取り扱われます。

「時の経過によりその価値が減少することが明らかな」美術品等

 取得価額が1点100万円以上である美術品等であっても、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」として減価償却資産に該当するものとしては、例えば、次に掲げる事項の全てを満たす美術品等が挙げられます。

①会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として取得されるものであること。

②移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであること。

③他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものであること。

 なお、この例示に該当しない美術品等が「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当するかどうかの判定は、これらの事項を参考にするなどして、その美術品等の実態を踏まえて判断することになります。

平成27年1月1日より前に取得した美術品等の取扱い

 今回の通達改正は過去に遡って資産区分の変更を行うものではありませんので、改正後の通達の取扱いにより資産区分を減価償却資産へ変更する美術品等については、平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度(以下「適用初年度」といいます。)から減価償却を行うことになります。

 また、この場合の償却方法は、その美術品等を実際に取得した日に応じて旧定額法、旧定率法、定額法、250%定率法又は200%定率法によることになりますが(法令48①、48の2①)、取得日を適用初年度開始の日とみなすこととして定額法又は200%定率法を選択できるほか、中小企業者等にあっては租税特別措置法第67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)の規定を適用することもできます(経過的取扱い)。

 

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少人数私募債

従前の取り扱い

同族会社が発行した社債の利子をオーナーが受け取った場合には、所得税15%+住民税5%の源泉分離課税で課税関係が完結します。そのため、総合課税の所得税率が20%を超えていれば、同族会社から役員報酬のみを受け取るよりも、その役員報酬の一部を社債の利子に組み替えて受け取ったほうが納税額は少なくなり、所得税の節税のために少人数私募債は利用されてきました。

平成25年度税制改正

同族会社が発行した社債(特定公社債に該当するものを除く)の利子等で、その株主(役員)等が支払を受けるものは、総合課税の対象とされることとなったものの、改正の対象は平成28年以後発行分の社債とされたことから、平成27年12月31日までに発行した少人数私募債については、平成28年以降であっても分離課税が適用されるとされていました。

平成26年度税制改正

「平成27年12月31日以前に発行された公社債」の範囲から、同族会社が発行した社債が除外されることとなるため、同族会社の株主(役員)等が支払を受ける少人数私募債の利子は、平成27年12月中に支払を受けるべきものであれば20%(所得税15%、住民税5%、所得税には復興特別所得税を付加)の源泉分離課税が適用されますが、平成28年1月以後に支払を受けるべきものからは総合課税が適用されることとなります。

地方法人税の創設 平成26年度税制改正

概要

 平成26年度税制改正により、地方法人税が創設されることになりました。地域間(地方自治体間)の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図ることを目的としたものです。

 具体的には、地方税である法人住民税の法人税割の一部を国税である地方法人税に移行し、この国税として徴収された地方法人税の税収全額を各地方自治体に配分する地方交付税の原資とします。

 同様の趣旨で既に設けられている地方法人特別税の税率が引下げられ事業税率が引き上げられます。

いずれも結果的には、納税者の税負担にはほとんど影響がないものと推測されます。

 

生産性向上設備投資促進税制

制度の概要

○ 指定期間内に取得・供用した場合の 50%(又は 25%)特別償却
青色申告書を提出する法人が、産業競争力強化法の施行の日(平成 26 年1月 20 日)から平成 29年3月 31 日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に、特定生産性向上設備等の取得等をして、これを国内にある当該法人の事業の用(貸付けの用を除きます。以下同じです。)に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度(平成 26 年4月1日以後に終了する事業年度に限り、合併以外の事由による解散の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除きます。下記の即時償却(原則)の場合において同じです。)において、その特定生産性向上設備等の取得価額の50%(建物及び構築物については 25%)相当額の特別償却(法人税額の特別控除との選択適用)ができることとされました(措法 42 の 12 の5①)。

 

 

○ 特定期間内に取得・供用した場合の即時償却
・ 平成 26 年4月1日以後に終了する事業年度の場合(原則)
青色申告書を提出する法人が、産業競争力強化法の施行の日(平成 26 年1月 20 日)から平成28 年3月 31 日までの期間(以下「特定期間」といいます。)内に、取得等をして、国内にある当該法人の事業の用に供した特定生産性向上設備等については、その国内にある当該法人の事業の用に供した日を含む事業年度において、即時償却(法人税額の特別控除との選択適用)ができることとされました(措法 42 の 12 の5①②)。
・ 平成 26 年4月1日前に終了する事業年度の場合(特例)
青色申告書を提出する法人が、産業競争力強化法の施行の日(平成 26 年1月 20 日)から同年4月1日前に終了した事業年度の末日までの間に、取得等をして、国内にある当該法人の事業の用に供した特定生産性向上設備等については、平成 26 年4月1日を含む事業年度において、即時償却(法人税額の特別控除との選択適用)ができることとされました(措法 42 の 12 の5③)。

適用対象法人

本制度の適用対象法人は、青色申告書を提出する法人です(措法 42 の 12 の5①~③)。

指定期間と特定期間

本制度における指定期間とは、産業競争力強化法の施行の日(平成 26 年1月 20 日)から平成 29年3月 31 日までの期間をいい、特定期間とは、産業競争力強化法の施行の日(平成 26 年1月 20日)から平成 28 年3月 31 日までの期間をいいます(措法 42 の 12 の5①~③)。

適用対象資産

A:先端設備

「機械装置」及び一定の「工具」「器具備品」「建物」「建物附属設備」「ソフトウエア」のうち、下記要件を全て満たすもの(サーバー及びソフトウエアについては中小企業者等が取得するものに限る。)
①最新モデル
②生産性向上(年平均1%以上)
③最低取得価額以上

B:生産ラインやオペレーションの改善に資する設備

「機械装置」「工具」「器具備品」「建物」「建物附属設備」「構築物」「ソフトウエア」のうち、下記要件を全て満たすもの
①投資計画における投資利益率が年平均15%以上(中小企業者等は5%以上)
②最低取得価額以上

 

平成26年6月

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生産等設備投資促進税制

制度の概要

H25税制改正創設の「生産等設備投資促進税制」は、生産等資産への投資額を一定以上増加させた場合、新たに取得等した機械及び装置の取得価額の一定割合を特別償却又は税額控除ができる制度です。

対象は機械及び装置に限定されています。

適用対象法人

青色申告法人であることが要件とされていますが、他には資本金の額の要件はありません。

適用対象期間

平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度において適用できます。

適用要件

各事業年度(設立事業年度を除きます。)において取得等をした国内の事業の用に供する生産等設備(注1)で、その事業年度終了の日において有するものの取得価額の合計額が次の(1)及び(2)の金額を超える場合、その生産等設備を構成する資産のうち機械装置をその法人の国内にある事業の用に供したときは、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の3%の税額控除(法人税額の20%が限度)との選択適用ができることとされます(所得税も同 様)。

①その法人の有する減価償却資産につき当期の償却費として損金経理をした金額(注2)

前事業年度において取得等をした国内の事業の用に供する生産等設備の取得価額の合計額の110%相当額

(注1)生産等設備とは、その法人の製造業その他の事業の用に直接供される減価償却資産(無形固定資産及び生物を除きます。)で構成されているものをいいます。なお、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、乗用自動車、福利厚生施設等は、該当しません。

(注2)償却費として損金経理をした金額は、前事業年度の償却超過額等を除き、特別償却準備金として積み立てた金額を含みます。

平成26年6月

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