上川陽子法務大臣は3月2日の参院予算委員会で、全国に所有者不明の土地が大量にある問題について、民法や不動産登記法の改正を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針を表明しました。
現在、相続登記は任意で、登記を行うことは相続人の判断に委ねられています。相続登記が行われなければ、登記簿上の名義は死亡者のままとなり、そのまま放置され続けて世代交代が進めば、法定相続人はねずみ算式に増えることが問題視されてきました。
所有者不明土地が増加する要因として、相続人が固定資産税などの税負担を避けたり、土地管理の煩わしさから放置したりするケースが指摘されています。このため法制審議会では相続登記を義務化して、違反した場合の罰則を設けることを検討することになりそうです。
また現行制度には土地所有権の放棄に関する明確な規定がないことから、放棄の可否についても検討します。所有権放棄を認めることになれば、国や自治体が管理するケースが増え、財政負担が増大することも懸念されており、条件や費用負担などの明確なルール作りが必要になるとみられます。
所有者不明土地を巡っては、増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる研究会が、所有者台帳からは現在の持ち主をすぐに特定できない土地が2016年に全国で約410万ヘクタールに上るとの試算を公表。対策を講じなければ、40年には北海道本島(約780万ヘクタール)の面積の所有者不明土地が発生し、経済損失額は累計で約6兆円に上ると推計しています。
<情報提供:エヌピー通信社>